岐阜新聞Web 第89回全国高校野球熱闘岐阜大会

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大垣日大、甲子園へ 岐阜総合破り春夏連続

 第89回全国高校野球選手権岐阜大会最終日は29日、岐阜市の長良川球場で決勝を行い、今春の選抜大会準優勝の大垣日大が初優勝し、春夏連続の甲子園出場を決めた。春夏連続出場は、1995(平成7)年の県岐阜商以来、12年ぶり。
 大垣日大は、初回に岐阜総合の先発竹市真治の立ち上がりを攻め、3番小林和稔の適時二塁打などで2点を先制。その後も犠打や盗塁を絡め、着実に点を加えた。投げてはエース森田貴之が散発3安打に抑え、二塁を踏ませない投球で完封した。
 同選手権は8月8日から22日まで15日間にわたって甲子園球場で繰り広げられる。組み合わせ抽選会は同月5日に行われる。

先制、中押し、必勝パターン 大垣日大

決勝長良川 29日第1試合
岐阜総合
大垣日大


初優勝が決まり、歓喜してスタンドに駆け寄る大垣日大ナイン=長良川

 大垣日大が、そつのない攻撃で着実に加点し、エース森田が完封した。
 大垣日大は、初回に小林の適時打などで2点を先制。3、5、7回にも小刻みに加点した。先発森田は伸びのある直球にスライダーなどを交え二塁を踏ませなかった。
 岐阜総合の先発竹市は立ち上がりにつかまり、7回まで5失点。打線も3安打に抑え込まれた。

◆重圧越え「ほっ」 就任3年目・阪口監督 

 就任3年目にして、県勢12年ぶりの春夏連続甲子園出場を果たした大垣日大の阪口慶三監督。普段は「63歳にしてこんなに胸が躍るなんて」「きょうは100点満点」などと、独特で自信に満ちたコメントが多いことで知られるが、甲子園切符を手に入れた決勝後は、一味違った。「ほっとした―」。選手による胴上げで5度宙を舞った名将から、正直な心情がわき出た。
 「みんなからの『優勝』という期待に応えなければならなかった」と阪口監督。センバツ準優勝という達成感の残る選手を夏に向けて奮い立たせ、普段通りの厳しい練習を積み重ねることで引き締めを図った。今夏の試合後は、何度も報道陣に「うちの子(選手)に心の緩みはない。準優勝は忘れ切っている」「(特待生問題での対外試合禁止時期は)いい練習ができた」と、自分に言い聞かせるように繰り返していた。
 阪口監督は決勝後「『優勝』ということを子どもたちに言うと、硬くなるから言ってはいけなかった。だから自分との闘い。厳しかった」と、こみ上げる気持ちを吐露(とろ)した。甲子園での抱負についても「先のことは、きょうは忘れたい」と苦笑。優勝というプレッシャーを指揮官が自ら背負い、全力投球した優勝劇だった。

◆森田満点快投、3安打完封

 理想的なゲーム運びだった。初回に先制し、小技や足攻で相手を揺さぶり、頼れるエースが快投。「相手にダメージと圧力をかけていく点の取り方は、理想的だった」と阪口慶三監督。「センバツ準優勝校」という重圧を背負った大垣日大が、センバツ後に着々と高めてきた実力でプレッシャーを見事にはねのけ、県大会決勝という大一番を駆け抜けた。
 決勝でも、やはりチームの投打の中心には森田貴之がいた。投げては相手に二塁を踏ませない被安打3の完封、打撃でも4打点をたたき出す活躍ぶり。「今までで最高のピッチングができた」と森田。準決勝の関商工戦で球が走らず苦戦した経験から、試合前のウオーミングアップ法を変えて臨んだ決勝。「体が軽くて、球が伸びた」。同じ過ちを繰り返さない工夫が、ここ一番で生きた。
 「きょうは満点じゃないかと思う」と言ったのは、森田の107球を受けた捕手箕浦和也。「球の回転、スピード、切れ…。初回から球がきていた」と絶賛する。森田はセンバツ準優勝後、投球フォームをワインドアップにし、軸足の折り方を見直すなど、さらなる球速、制球力アップを遂げた。阪口監督は「ボールが生きている。本番(甲子園)に行っても楽しみ」と成長を続けるエースの姿に目を細めた。
 初回は、二塁手平野真也が好守備で先頭打者の出塁を防ぐなど、大垣日大が積み上げてきた“センバツ後”の成長や、勝負どころでの集中力が存分に発揮された好試合だった。「春は準優勝したけど、それは春のこと。夏はまた挑戦者として、優勝を目指したい」と森田。力強い言葉が頼もしかった。

◆岐阜総合 夢散る 緊張、打ち急ぐ

 見せ場を最後までつくれなかった。センバツ準優勝校を相手に、岐阜総合は二塁も踏めないまま最後の夏を終えた。「力の差が出た。相手バッテリーが1枚上だった」。指揮官として1年目の夏に臨んだ伏見圭太監督は悔しさを押し殺し、相手をたたえた。
 甲子園経験のある大垣日大のエース森田貴之を攻略するため、初回から直球一本に狙いを定めていた。だが球威に押され、とらえきれなかった。さらに切れのあるスライダーにバットを出し、カウントを不利にした。「早いカウントのスライダーに手を出してしまった」と伏見監督。主将の3番上野拓昭は「ストレートを狙っても頭の中にスライダーが残っていた。的を絞り切れなかった」と悔やむ。
 2回に四球で出塁したが、バントミスで併殺。5回1死一塁ではエンドランのサインを出したが、打者が空振りし、一塁走者が二塁でタッチアウトとなった。「カウントが悪くなると変化球がくるので、早いカウントのストレートを狙わせた。結果的にはもう少し待ってもよかった」と伏見監督は反省する。
 「この学校で甲子園に行きたい」。3年前の決勝戦を見てあこがれ、入学を決めた現在の3年生。決勝まではたどり着いたが、大舞台の経験が足りなかった。捕手の渡邉敬介は「落ち着いていたつもりでも、冷静さを欠いていた」と明かす。「力のない自分たちでも決勝までこれた。自分たちと同じ思いの部員が入ってきてほしい」と上野。果たせなかった甲子園出場の夢を後輩に託した。