
第90回全国高校野球選手権記念岐阜大会最終日は25日、岐阜市の長良川球場で決勝を行い、市岐阜商が大垣南を寄せ付けず8―2で快勝した。市岐阜商の甲子園出場は5年ぶり4度目。
試合は市岐阜商が大垣南を圧倒した。好投するエース原一智を打線が援護し、相手投手の決め球を早々と攻略してリズムに乗った。大垣南は攻撃がかみ合わず、持ち味を十分に発揮できなかった。
試合終了後には同球場で抽選会が行われ、市岐阜商は大会第7日第3試合(午後1時30分)の2回戦で、2年ぶり3度目の出場となる香川西(香川)と対戦することが決まった。
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![]() 5年ぶり4度目の優勝を決め、歓喜してスタンドに駆け寄る市岐阜商ナイン=長良川 |
市岐阜商が投打に大垣南を上回り勝利した。市岐阜商は初回から相手投手の変化球をとらえ、2死一、二塁から加藤の左前適時打で先制。3回も加藤の適時打で1点を加えた。4回は2死一、三塁から臼井、森の連続適時打と敵失で一挙4点。6回は杉島、9回は高井の適時打でそれぞれ1点を加えた。エース原は連打を許さぬ好投。大垣南は先発投手が踏ん張れず、攻撃でも持ち味を出せずに好機を逸した。反撃は6回に上田、水谷の適時打で計2点を返すにとどまった。
![]() 大垣南打線を抑え、貫禄(かんろく)をみせた市岐阜商のエース原一智=長良川 |
「ほっとしました」。決勝を含めた全試合に先発した市岐阜商のエース原一智。決勝でも冷静かつ大胆な投球をみせた“ミスター市岐阜商”が、安どの笑顔で試合を振り返った。秋田和哉監督が「なんだかんだ言っても、原ですよ」と全幅の信頼を寄せるエース。真骨頂をみせつけ、決勝の大舞台でも相手打線をかわしてみせた。
ピンチでも淡々と投げ抜いた。1点リードで迎えた2回。「あれ以上ランナーを出したら、勢いのある大垣南に流れを持っていかれそうだった」と捕手の加藤遼が振り返る1死二塁の場面。ノーストライク3ボールと1球でも外れれば痛恨の四球、さらに安打も許したくない逆境。ここで変化球の切れを身上とするバッテリーは、3球連続で直球勝負に。三振に切って取った。「さすがエース。あの三振は大きかった」と加藤。「守備を信頼して、普段通りピンチでも負けない粘り強いピッチングができた」と原。今春のセンバツで補欠校にまわった挫折、春季県大会で優勝したプライド、そして激戦ゾーンで強豪校との試合を1点差で投げ勝ってきた経験―。原と加藤は、そのすべてが無駄ではなかったことを112球で証明した。
センバツ出場を逃したチームが、文字通り“自力で”甲子園切符を獲得した。「夏こそ甲子園と思ってきた。厳しい戦いを乗り越えてここまでこれた」(原)と選手の喜びもひとしおだ。「やっと、野球の神様が甲子園行きを許してくれた」と秋田監督。3度宙に舞い、澄み切った青空に向けて最高の笑顔をみせた。
決勝で敗れはしたもののシード校を次々と破って勝ち上がり、4度目の準優勝に輝いた大垣南。今春に就任した指揮官と選手との強い信頼関係がこの夏、さわやかな旋風を生んだ。
監督として過去2度の準優勝を経験した川本勇監督がチームに加わったのは今年4月。主将の水谷亮太は振り返る。「川本先生が来る前は、ひたすら打って力で押すチームだった。だが、春の練習試合で、それまで軽く考えていた犠打や盗塁を川本先生のサイン通りにやったらすぐに結果が出た。すごいと思った」
「もともと打つ力はあり、守備力と小技などの好機をつくるための技術を教えた」と川本監督。選手は指揮官に「グラウンドに行くのが楽しみだった」と言わしめるほどひたむきに、指揮官を信じて練習に取り組んだ。
そして今大会、指揮官のさい配に選手ははつらつとしたプレーで応え、監督と選手とが一体となった全員野球で、いくつもの会心の勝利を手にした。
決勝で敗戦した後も川本監督の目に失望の色はなかった。「選手は最後まであきらめないでよく戦った。想像よりもはるかに素晴らしいチームに育ってくれた」。主将の水谷がナインの気持ちを代弁した。「川本先生がいなかったらここ(決勝戦)まで来られなかった。心から感謝したい」