オグリの里

地方競馬に貢献した小栗さんの功績たたえ

写真:引退後のオグリキャップと歩く、在りし日の小栗孝一さん

引退後のオグリキャップと歩く、在りし日の小栗孝一さん

 オグリローマンの桜花賞制覇の前年秋、岐阜新聞「記者ノート」に、こんな記事を出稿していた。

 「夢を妹に託して…」(1993.11.19)

 笠松競馬から中央競馬入りし大活躍し、県スポーツ栄誉賞にも輝いた名馬オグリキャップ。妹の3歳馬オグリローマンも現在、笠松競馬場で兄譲りの豪快なフットワークを見せ、1着4回、2着1回と好成績。来年1月には中央入りの予定。
 兄オグリキャップは、中央クラシックレースに未登録のため出走できず、「幻のダービー馬」とも呼ばれた。オグリ兄妹の馬主・小栗孝一さんと鷲見昌勇調教師は「来春の最初のクラシックレース・桜花賞にオグリローマンをゲートインさせたい」という。
 引退レースの有馬記念に優勝し、感動のオグリコールとともに「笠松」の名を全国にアピールした兄に続くか。オグリローマンにはクラシックレースでの活躍を期待したい。偉大な兄が果たせなかった夢を妹に託して…。

写真:「NAR特別表彰馬」に選出されたオグリローマンの表彰式に出席した家族や友人ら(いずれも川崎競馬倶楽部提供)

「NAR特別表彰馬」に選出されたオグリローマンの表彰式に出席した家族や友人ら(いずれも川崎競馬倶楽部提供)

 記事掲載後、笠松競馬からお礼の手紙と特製テレホンカードが届いた。5カ月後、ローマンはダービーなど3冠レースに出られなかった兄キャップの無念を晴らす形で、オグリ一族悲願のクラシック制覇を果たした。強い馬だとは思っていたが、本当に桜花賞を勝ってくれるとは。期待を込めて書いた記事だったが、予想が当たったような気分で、最高にうれしかった。中央の馬主資格を取得していた小栗さんは、ローマンの馬主のまま、クラシック制覇の夢がかなった。

 歴代のNAR特別表彰馬には、笠松からはキャップの母ホワイトナルビー(96年)に、ワカオライデン(07年)とライデンリーダー(14年)の父子が選出されており、オグリローマンで4頭目となった。小栗さんは昨年10月、83歳で永眠されており、ローマンのNAR表彰式は、友人の胸に抱かれた遺影(引退後のオグリキャップと歩く姿)での出席となった。「地方競馬の発展に顕著な功績があったと認められる馬」としての晴れの表彰に、「このような賞を頂き、大変うれしいです」と喜びに包まれた家族ら。この表彰は「キャップやローマンの馬主として、地方競馬の繁栄に長年貢献してきた小栗さんの功績をたたえ、感謝の意味も込められたもの」と、出席者は感じていたという。

 地元・笠松競馬場では、「オグリ」と名の付く愛馬たちの応援馬券を、こつこつと買い続けていらっしゃった小栗さんの姿が目に浮かぶ。28年前、キャップを小さな競馬場から中央という大きな舞台へ旅に出したが、初代馬主としての誇りを失わず、その活躍ぶりをわが子のように見守り続け、「日本一の競走馬に」という夢を実現した。クラシックへの夢は妹に託して、ローマンで桜花賞を制することができた。

 当時、笠松でキャップやローマンの調教師を務めた鷲見昌勇さんは「人情味のある人と、いい仕事ができた。天国でも良い馬をつくってほしい」と別れを惜しんでいた。小栗さん・鷲見さんの名コンビに、主戦のアンカツさん(安藤勝己元騎手)が名馬の力を引き出し、中央のエリート馬をねじ伏せる強い馬に育てたといえる。地方発の中央GT馬2頭は、笠松競馬から誕生した「永遠の宝物」として輝き続けることだろう。

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筆者プロフィール

【ハヤヒデ】
80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。