ふるさとへの便り

オグリに感謝「桜満開の春」

写真:93年、オグリローマンの笠松デビュー戦。安藤勝己元騎手が騎乗し、初勝利を飾った(藤原悟さん撮影)

93年、オグリローマンの笠松デビュー戦。安藤勝己元騎手が騎乗し、初勝利を飾った(藤原悟さん撮影)

 オグリローマンが笠松でデビューした時の貴重な写真があった。1993年7月28日の800メートル新馬戦で、アンカツさんが騎乗し、6馬身差の圧勝劇だった。地元の笠松、名古屋では6勝2着1回。ライバルはマルカショウグンで、秋風ジュニアで先着を許したが、ジュニアグランプリでは圧倒し、桜花賞出走を目指して中央に移籍した。

 この頃、笠松競馬の馬券は電話投票でも買えたが、まだインターネット販売がなかった時代。競馬場まで出掛けてレースを楽しむファンが圧倒的に多く、入場者数4〜5千人、売上高2〜3億円はあった。かつては名古屋、多治見方面から無料送迎バスも運行されており、年末の名物レース「東海ゴールドカップ」開催日は毎年すごい人出となった。今では夢のような数字だが、81年には入場者2万8924人を記録し、売上高は何と10億円を突破した。

 平日開催が定着した最近では、入場者数は800〜900人程度に落ち込み、全国的にも「おいしい」と評判だった場内飲食店の閉店も相次いでいる。ネットや場外が好調で馬券販売は持ち直しているとはいえ、やはり、まずはファンを呼べる強いスターホースを育てて、若者や家族連れが足を運びやすい祝日開催を増やすなどして、笠松競馬場でのライブ感覚を盛り上げてほしいものだ。

 競馬を楽しむには、もちろん馬券との付き合い方も大切だ。好きな馬に投資するなら、たとえ負けたとしても「観戦料か、餌代のつもり」と思えば安いもの? 1レース100円から楽しめ、女性ファンも気軽に参加できる。ネットで購入するファンも増えているが、とにかく競馬場で馬券を握り締めて、生のレースを見るドキドキ感は最高に楽しい。

 オグリローマンがチューリップ賞2着から挑んで勝った桜花賞。レースは、武豊騎手が手綱を取り、中団後方から大外一気の強烈な差し切りを決め、ツィンクルブライド(大崎騎手)にハナ差先着した。歓喜のウイニングランでは、春の阪神競馬場にオグリコールが湧き起こった。オグリキャップのラストランとなった有馬記念に続き、またしても天才・武豊騎手が、笠松出身の名馬を勝利に導いてくれた。

 当日は、ウインズ名古屋でレースを観戦していたが、ローマンは、馬券的にも「桜満開の春」を運んでくれた。かつてオグリキャップが、岡部幸雄元騎手(88年)と武豊騎手(90年)の騎乗で有馬記念を2度制していたことから、両騎手を絡めた思い入れたっぷりの「オグリ馬券」で勝負した。まだ馬単や3連単がない時代で、枠連@Cを中心に購入した。3番人気のローマンが勝ち、2着ツィンクルブライドは12番人気。@Cがズバリ入って2230円を1万円ゲット。C枠は代用だったが、これぞ「馬券おやじ」が愛する昔ながらの枠連の魅力か。馬連で買っていたら外れていた。

 まだJR尾頭橋駅が開業前で、金山駅までとぼとぼと歩くファンが多かった時代。突き抜ける快感に浸りながら、帰りはJR名古屋駅までタクシー乗車。「この辺りにいる運転手さんは、やはり競馬ファンも多いだろうなあ」と勝手に思いながら、車内でも興奮覚めやらずに「桜花賞、当たったよ」と叫んでいた。もうけ話をした後だったので、ご祝儀気分で「お釣りはいいです」のひと言。気前良く万札でも渡していれば格好良かったのだろうが…。応援していたローマンの追い込みがすごかったこともあり、悲願のクラシック制覇で、記憶に残るラッキーな思い出。オグリ一族に感謝した一日だった。

 今年も桜花賞の季節が迫ってきた。桜の開花はやや早いようだが、例年なら桜吹雪が舞う中、最初のコーナーに向かって先陣争いをする華麗な3歳牝馬たち。オグリローマンが勝った翌年には、アンカツさん騎乗で1番人気のライデンリーダーが4着と健闘し、笠松の名馬ゆかりのGTレースといえる。最後の長い直線を制し、どの若駒がどんな桜の大輪を咲かせるのか、わくわくするクラシックシーズンが幕を開ける。

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筆者プロフィール

【ハヤヒデ】
80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。