オグリの里

笠松でも活躍した女性騎手

写真:笠松競馬初めての女性騎手として活躍した中島広美元騎手=1992年4月

笠松競馬初めての女性騎手として活躍した中島広美元騎手=1992年

 女性騎手は笠松競馬にもかつて在籍していた。中島広美さんと岡河まき子さんの2人で、1990年代のほぼ同時期にアンカツさんをはじめ、アンミツさん(安藤光彰元騎手)やハマちゃん(浜口楠彦元騎手)ら笠松のトップジョッキーと手綱さばきを競い、ゴールを目指した。

 中島さんは、滋賀県出身で笠松競馬初の女性騎手となった。「仕事をするなら何か変わったことをしたい」と、騎手候補を募集する広告を見て応募したという。92年に17歳で笠松デビュー。1年目から12勝を挙げ、重賞(オグリオー記念)で2着に入る好騎乗を見せ、通算120勝を飾った。93年には笠松、大井、金沢を転戦する国際競走「クイーンジョッキーシリーズ」(日、米、英など7カ国参加)にも出走。女性騎手の第一人者で通算350勝を挙げた吉岡牧子さん(益田)らとともに、日本代表としてレースを盛り上げた。騎乗した馬ではオグリジョージが好きだったという中島さんは、96年に先輩の田口輝彦さん(現調教師)と結婚。当時、ジョッキー同士のゴールインとして話題を集めた。

写真:中島広美元騎手

中島広美元騎手

 岡河さんは広島県出身で、93年に笠松デビュー。「テレビ番組で女性ジョッキーの活躍ぶりを見てあこがれ、競馬の世界に入った」という。デビュー戦で3着に入る活躍を見せて「追い込みのできる騎手になりたい」と夢を語っていた。騎乗数はそれほど多くなく、通算では20勝だった。中島さんとは同じレースで腕を競い合うこともあった。

 当時は、オグリキャップが引退した後、94年にオグリローマン、95年にはライデンリーダーが中央の桜花賞に挑戦するなど、笠松勢が強かった古き良き時代だった。中島さんと岡河さんの2人は、ともに栃木県の地方競馬教養センターで2年間訓練を積んで、騎手免許試験に合格した。ジョッキーへの道に大きな夢を抱いて、「地方競馬の雄」でもあった笠松のゲートをたたき、木曽川河畔に熱いレースを繰り広げた。男性社会の競馬界に飛び込んで競走馬に自分の人生を懸けた、勇気ある女性だったといえる。2人の活躍は当時のファンの心に深く刻まれている。

写真:笠松デビュー戦で見事3着に入った岡河まき子元騎手=1993年4月

笠松デビュー戦で見事3着に入った岡河まき子元騎手=1993年

 現在、日本の競馬界で現役の女性騎手は7人。JRAに藤田菜七子騎手、全国の地方競馬には高知に別府真衣騎手ら2人、名古屋、佐賀、岩手、ばんえいに各1人で計6人が奮闘している。名古屋競馬では、2011年8月に引退して2児の母となった宮下瞳元騎手が「自分が馬に乗っている姿を、子どもたちに見せたくて」と、現役復帰に意欲を燃やしている。626勝と国内の女性騎手最多勝記録を持ち、韓国でも56勝を挙げたほどの名ジョッキー。現在は厩務員をこなしながら騎手復帰に向けて準備中で、まず5月に迫った学科試験を突破して、騎手試験の合格を目指している。

 東海地区では近年、名古屋の馬が笠松に参戦して地元馬を圧倒する傾向が強く、「宮下騎手」復活が実現すれば、笠松での騎乗も増えそうだ。復帰を待ち望むファンも多く、ぜひとも今年合格して、華麗な手綱さばきをまた披露してほしい。偉大な先輩が復帰すれば、名古屋で成長著しい木之前葵騎手にも良い影響を与えそうだ。

 このところの女性騎手へのファンの熱い声援は、時代の流れなのだろう。JRAから地方競馬にも波及した藤田騎手への熱視線は、一過性に終わりそうもない。騎手試験合格への道は確かに険しいが、JRAほどハードルが高くはない地方競馬では、もっと女性騎手が増えてもいいのでは。笠松でも、かつての中島さんや岡河さんのような女性騎手の誕生が再びあるかもしれない。もし実現すれば、東海地区では名古屋の木之前騎手、復帰を目指す宮下元騎手との対決も楽しみとなる。競馬場の雰囲気もぐっと華やかになるし、来場する若いファンも増えて、盛り上がることだろう。

 新年度の開催がスタートした笠松競馬では、JRA並みに「1日12レース」が連日実施された。これまでは1日10レース前後だったが、運営費などの面から効率よくレースが実施され、馬券販売では大きな成果があった。15日には3億円の大台を久々に突破し、6日間の1日平均でも2億円を超えた。入場者は900人前後だったが、競馬場周辺の奈良津堤の桜並木が満開となった5日には1235人が来場した。3連単馬券では10万円以上が6回と、高配当も飛び出していた。

 まずは好スタートを切ったといえる新年度の笠松競馬。次回は25日からで、28日にはオグリキャップ記念も開催される。門別、大井、高知などからも強豪馬が出走予定で、白熱したレースが期待できる。

このコラムに対するコメントをお寄せください

ネーム:(必須)
メールアドレス:(必須・半角英数)
コメント:

※投稿は承認後、順次掲載します。そのためすぐには反映されません。

※メールアドレスが公開されることはありません。

「オグリの里」一覧

〜バックナンバー〜

※項目をクリックでリスト展開。

筆者プロフィール

【ハヤヒデ】
80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。