オグリの里

稲葉牧場支える母と娘

写真:桜花賞を制したGT馬オグリローマンの子である愛馬シュンプウサイライの世話をする愛夏さん

桜花賞を制したGT馬オグリローマンの子である愛馬シュンプウサイライの世話をする愛夏さん

 オグリキャップが生まれ育った稲葉牧場(北海道新ひだか町)。現在は、夫の遺志を継ぐ千恵さんと長女の愛夏さんの母娘だけで、20頭近くの愛馬たちを支えている。二人は、キャップやローマンのようにGTの舞台で活躍できる馬を再び育てるため、牧場の未来に熱い思いを抱いている。

 牧場を続けることについて千恵さんは「主人は、やれとも、やるなとも言わなかった。でも内心、気持ちは分かっていたので」と、裕治さんが亡くなった後も、国民的アイドルホースの生まれ故郷を継承することを決意した。

 母親の仕事を助ける愛夏さんは25歳。江別市の酪農学園大を卒業後、日高振興局でアルバイトもしていたが、牧場の仕事を手伝うようになって3年目。千恵さんの目からは「娘は馬の血統なども熱心に勉強して一生懸命だなあと思う。(馬の育成を)自分の生きる道として選択し、父親も喜んでいることでしょう」と温かく見守っている。

写真:オグリキャップの七回忌法要に参列した稲葉さん親子

オグリキャップの七回忌法要に参列した稲葉さん親子

 女性2人だけでの牧場経営に「心細さもあるのでは」と感じたが、心配無用だった。千恵さんは「女の方が気が付くこともある。例えば、お母さん馬の扱いでは、子馬に乳をやっている時には、喉が渇いて水が飲みたい気持ちがよく分かる。馬に対する当たりだったり、気配りを生かしていけるといい。周りの多くの人たちの親切さに支えられ、いつも感謝しています」と、馬づくりに情熱を注いでいる。

 今後の牧場経営については「いずれは夫婦で牧場をやっていってくれれば…。娘の花婿募集中といった感じかな」と親心もチラリ。馬産地の新ひだか町では、花嫁不足もあって、JA三石軽種馬青年部が、都会などの女性を対象に「オグリキャップの故郷レディースツアー」を毎年9月に開催してきた。キャップが亡くなり、昨年からはロードカナロアを冠にしたツアーになっているが、「これまでに4、5組がまとまったはず。これからはメンズツアーもあるといいですね」と、ほほ笑む千恵さん。牧場に興味のある男性にも、キャップの生まれ故郷へぜひ一度、足を運んでもらいたいものだ。

写真:オグリローマンの孫であるサンマルミッシェルの親子

オグリローマンの孫であるサンマルミッシェルの親子

 愛くるしい子馬たちの世話をする愛夏さんは、「馬と共に育ったから、馬に携わることがやりたくて、自然の流れで家の仕事を継ぐことになった。父が亡くなる前から手伝っていて、今はハードな仕事にも慣れてきた。妹も時々は手伝ってくれますし」と、子馬たちがかわいくて仕方がない様子。

 笠松のオープン馬だったクィーンロマンスの子が5月に生まれ、「牝馬で元気いっぱい。少しやんちゃな方かな。活躍してほしいです」と愛らしい姿に目を輝かせる。タイキシャトルを父に持つ1歳牝馬は、8月のサマーセールに上場予定だ。今の時代、ディープインパクトの「ノーザンファーム」に代表されるように、大規模な生産牧場がGT馬を輩出する傾向にはあるが、家族だけで育成する小さな牧場からも、時にはキャップのような「怪物」が誕生するから競馬は面白い。

 古くは笠松競馬で活躍したダイタクチカラやホワイトナルビーの時代から、稲葉牧場は笠松との関わりが大変深い。その「北の大地」では、オグリローマンの子シュンプウサイライ、孫のクィーンロマンスとサンマルミッシェルらを繁殖牝馬として管理。その子どもたちの成長も愛情たっぷりにサポートし、オグリの血脈をしっかりと守り育てている。生産者の裕治さんと、馬主の小栗孝一さんは昨年秋に亡くなったが、華麗なるオグリ一族の血のロマンは、これからもファンの心を熱くすることだろう。

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コメント一覧

ミーちゃん大好き / 2016.7.26
 何年か前のグリーンチャンネルの番組で稲葉牧場さんが牧夫体験の場所になってて大学生の男の子が牧夫として体験してたのをおぼえてます。

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