オグリの里

笠松出身の川原騎手健在

写真:今年の笠松重賞サマーカップをマルトクスパートで優勝した川原正一騎手(笠松競馬提供)

今年の笠松重賞サマーカップをマルトクスパートで優勝した川原正一騎手(笠松競馬提供)

 笠松競馬のトップジョッキーだった川原正一騎手が、兵庫(園田、姫路競馬)に移籍後も長年活躍を続けている。今年の充実ぶりは目覚ましく、笠松時代のミツアキサイレンスで勝って以来、14年ぶりとなるダートグレード制覇(2勝)を達成。地方通算の勝利数は5000勝を突破しており、57歳になっても衰えるどころか飛躍を続け、「中高年の星」として輝きを増している。

 川原騎手は、11月23日の兵庫ジュニアグランプリ(JpnU)で、地方馬ローズジュレップ(北海道)に騎乗し、JRA勢を圧倒して優勝を飾った。今夏には、笠松重賞のサマーカップをマルトクスパート(兵庫)で勝ち、「久々に笠松で重賞を制することができた。また来て騎乗したい」と、里帰りした実家の庭のような笠松コースでの逃げ切り劇を楽しんで、ファンの応援に感謝していた。

 川原騎手は鹿児島県出身で、1976年に17歳で笠松デビュー。その日の4戦目に早々と初勝利を挙げた。96年には、18年間も笠松の騎手リーディングを続けていたアンカツさんから、その座を奪取。99年からは6年連続でリーディングに輝いた。笠松時代に2856勝、兵庫移籍後も2200勝を超え、両競馬でともに2000勝以上という大記録を達成した。

写真:ワールドスーパージョッキーシリーズで総合優勝を飾るなど、活躍が目立った笠松時代の川原正一騎手=1998年

ワールドスーパージョッキーシリーズで総合優勝を飾るなど、活躍が目立った笠松時代の川原正一騎手=1998年

 笠松時代から中央にも参戦し73勝を挙げた。圧巻は97年のワールドスーパージョッキーシリーズでの総合優勝。岡部幸雄騎手やペリエ騎手ら国内外6カ国の一流ジョッキーを抑えての快挙。最終レースでは、5番人気のファーストソニアに騎乗し、断然人気のステイゴールド(武豊騎手)を破って逆転優勝を飾った。この活躍が認められて、県民栄誉賞や岐阜新聞スポーツ賞も受賞。「馬に乗ることが大好きなんです。ずっと馬とともに生きることが、私の夢です」と意欲を示し、今もその通りの競馬ライフを追い続けている。

 謙虚な努力家で、常にフェアな騎乗スタイルと闘志あふれる勝負根性。若手時代にはファンの間でも「穴の川原」と呼ばれ、競馬新聞の予想無印の馬を度々馬券圏内に導いていた。逃げ馬に乗せたら天下一品で、今回の兵庫ジュニアグランプリでも、ローズジュレップで2番手から4コーナーで先頭に立つと、戸崎圭太、ルメールらJRA騎手の騎乗馬も圧倒し、本領発揮の逃げ込みを決めた。7年前、このレースと全日本2歳優駿(JpnT)を連勝したラブミーチャンに続けとばかりに、ローズジュレップは次走での全日本2歳優駿制覇を目指しており、注目される。

 笠松時代の川原騎手は、愛馬ミツアキサイレンスとの快進撃が続いた。相性抜群だった佐賀記念(GV)では2001、02年に2連覇を達成。菊花賞馬ナリタトップロードが勝った阪神大賞典では堂々の4着に食い込んだ。宝塚記念にも出走し11着、クロフネが圧勝したJCダート(現在のチャンピオンズC)では12着だった。地元のオグリキャップ記念(GU)は惜しくも2着2回、3着1回に終わった。

写真:「29年間の笠松時代を財産に、移籍後も頑張りたい」とファンの前で決意を語った川原正一騎手=2005年

「29年間の笠松時代を財産に、移籍後も頑張りたい」とファンの前で決意を語った川原正一騎手=2005年

 川原騎手の突然の兵庫移籍は、笠松競馬が存廃に揺れていた05年6月だった。連勝で有終の美を飾り、多くのファンに囲まれた川原騎手は「29年間の笠松時代の財産を恥じないようにしたい」と思いを語った。「家庭の事情もあって移籍を決めた」ということだったが、笠松競馬の廃止を見越して移籍先がほぼ決まっていたようだった。経営難の笠松競馬は「赤字にならないこと」を条件に1年間の存続が決まったが、JRAに移籍したアンカツさんに続いて「笠松のエース」を失うことに、川原ファンの1人として寂しさが募った。複雑な心境でセレモニーを見守り、「笠松が大変な時期に見捨てないでほしい」という思いと、新天地での飛躍を願う気持ちが交錯していた。

 笠松で29年間、兵庫で11年間騎乗。ダートグレードでの活躍が素晴らしく、笠松時代にミツアキサイレンス(佐賀記念2勝、名古屋グランプリ、兵庫チャンピオンシップ)とトミケンクイン(TCK女王盃)で計5勝、園田では今年、ケイティブレイブ(兵庫チャンピオンシップ)とローズジュレップ(兵庫ジュニアグランプリ)で2勝を挙げた。

 園田では毎年200勝前後を積み重ね、今年も騎手リーディング2位。「馬のリズムに合わせて、いいレースができれば」と、進化を続ける熟年スタージョッキー。年末の兵庫ゴールドトロフィー(JpnV)にも参戦できれば、「兵庫のダートグレード3冠」の金字塔へと、ファンの期待が膨らむことだろう。移籍後も「笠松のエース・川原」のイメージが根強く残っており、馬券も買っていつまでも応援を続けたい名手である。

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