オグリの里

笠松発、サクセスストーリー

写真:1993年の笠松「ジュニアグランプリ」で優勝したオグリローマンに騎乗する安藤勝己元騎手

1993年の笠松「ジュニアグランプリ」で優勝したオグリローマンに騎乗する安藤勝己元騎手

 今年の笠松競馬も残り1開催となり、27日からの5日間、熱戦が繰り広げられる。重賞レースは30日にライデンリーダー記念、31日には東海ゴールドカップが行われる。

 わが家の段ボール箱の中から、アンカツさんが騎乗したゼッケン2番の馬の古い写真が出てきた。すっかり忘れていたが、1993年12月に笠松で開催されたジュニアグランプリ(現在のライデンリーダー記念)の優勝馬で、オグリローマン(2歳牝、鷲見昌勇厩舎)だった。

 オグリローマンは翌年に中央入りしており、笠松所属馬としては最後のレースとなった。秋風ジュニアでただ1度、マルカショウグンに敗れたが、ジュニアグランプリでは圧勝し、雪辱を果たした。1600メートルを1分41秒で駆け抜け、歴代優勝馬の最高タイムをマーク。同じレースで優勝した兄オグリキャップより4秒も速かった。

写真:安藤勝己元騎手を背にしたオグリローマンの優勝をたたえる関係者

安藤勝己元騎手を背にしたオグリローマンの優勝をたたえる関係者

 笠松時代は6勝2着1回の成績。オグリキャップの妹ということで、中央での活躍も期待されていたが、芝レースで通用するかは未知数だった。中央への壮行会ともなったジュニアグランプリでのオグリローマンの優勝セレモニー。馬主だった小栗孝一さんらを囲んで盛り上がり、ファンの注目度は高かったが、3カ月半後、まさか本当に中央のGTを制覇して「桜花賞馬」になるとは…。2歳から3歳の競走馬の成長力はすごいものだ。日本ダービーなどクラシックレースに出走できなかったキャップの無念さも背負って、武豊騎手の好騎乗で激走。笠松をはじめ全国のファンの熱い声援に応えてくれた。

 笠松競馬の歴史を彩ったジュニアグランプリの優勝馬たちの活躍ぶりを振り返ってみたい。

  【ジュニアグランプリの主な勝ち馬】

      優勝馬     騎手   調教師
 82年 リュウフレンチ (坂本敏美)大橋憲
 83年 リュウズイショウ(町野良隆)大橋憲
 84年 ミスターボーイ (安藤光彰)横山忠
 87年 オグリキャップ (安藤勝己)鷲見昌勇
 89年 マックスフリート(安藤勝己)荒川友司
 91年 オグリホワイト (安藤勝己)鷲見昌勇
 92年 サブリナチェリー(安藤勝己)荒川友司
 93年 オグリローマン (安藤勝己)鷲見昌勇
 94年 ライデンリーダー(安藤勝己)荒川友司
 96年 シンプウライデン(安藤勝己)荒川友司

 記憶に残っている馬は、アンカツさんが尊敬していた伝説の名手・坂本敏美騎手(愛知)が騎乗したリュウフレンチや、トウショウボーイ産駒で東海ダービーを制覇したリュウズイショウだ。笠松のオールドファンにとっては懐かしい名前だろう。

 アンミツさんが騎乗したミスターボーイは、笠松でデビューし8戦7勝。中央移籍後はGT3着3回という輝かしい戦跡と、馬名のスマートさからも忘れられない1頭だ。オグリキャップがまだ笠松で走っていた87年、GTのマイルチャンピオンシップで3着(村本善之騎手)。当時のマイル王だったニッポーテイオーに敗れはしたが、笠松出身馬の中央でのサクセスストリーは、この頃から始まったといえよう。88年には安田記念で3着(ニッポーテイオー1着)、マイルチャンピオンシップでも3着(サッカーボーイ1着)と、マイルGTで3戦連続3着という「善戦ボーイ」ぶりを発揮。マイラーズカップ(GU)、セントウルS(GV)など中央で8勝を挙げた。

写真:1991年の笠松「秋風ジュニア」で快走し、1着になったオグリホワイト

1991年の笠松「秋風ジュニア」で快走し、1着になったオグリホワイト

 87年のジュニアグランプリは、オグリキャップがトウカイシャークを圧倒して制覇。ホワイトナルビー産駒であるオグリ一族の黄金時代が始まった。キャップの中央でのGT4勝の活躍に続いて、妹たちも優秀だった。91年のオグリホワイトは、後にテレビ愛知OPを制したトミシノポルンガを破ってジュニアグランプリを優勝。中央のチューリップ賞(武豊騎手)に挑んだが、7着で桜花賞へは進めなかった。2歳下の妹オグリローマンは、チューリップ賞2着から桜花賞を制覇した。そして、翌年にはライデンリーダーが登場し、笠松競馬の名声をさらに高めた。

 来年はオグリキャップが笠松でデビューしてから30周年を迎える。NHKのテレビ番組「プロフェッショナル」では、ザ・レジェンド「オグリキャップ」(仮)の放送が2月ごろに予定されている。キャップが中央入りした時点で、競走馬としての完成度が高かったことから、笠松時代のレースぶり、当時の鷲見調教師や騎乗した騎手たちの仕事ぶりにもスポットが当たりそうだ。人間でなく、今は「伝説」として語り継がれている競走馬の「仕事の流儀」とは…。新たな取り組みとなり、放送を楽しみにしたい。

 オグリキャップの引退直後には、ファンの1人として「週刊競馬報知」の読者欄に投稿し、掲載されたことがあった。笠松デビュー戦から全12レースの専門紙(競馬エースなど)を持っていたことから、「笠松時代のオグリについて知りたい」という多数のファンと交流ができ、出走表のコピーを送ってあげた。「今後の記事の資料にしたい」という競馬報知の編集者には専門紙(現物)を送ったままになっており、手元に残っていない。当時のオグリファンで、コピーをまだ保存されている方がいたら、「オグリの里」やNHKの番組などの資料にしたいので、ぜひ連絡を。

 笠松競馬は今月9日の開催日、馬券販売額が久しぶりに3億円を突破した。15日の名古屋グランプリ(JpnU)では、笠松でデビューしたカツゲキキトキト(名古屋、大畑雅章騎手)が中央勢を相手に3着に食い込み、地元馬の意地を見せた。笠松勢も負けてはいられない。

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筆者プロフィール

【ハヤヒデ】
80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。