オグリの里

ピザ店長から転身、笹野調教師が最多勝

(笠松・優秀者表彰から)
写真:笠松競馬の騎手等成績優秀者表彰。昨年121勝でリーディングトレーナーに輝いた笹野博司調教師らの活躍をたたえた

笠松競馬の騎手等成績優秀者表彰。昨年121勝でリーディングトレーナーに輝いた笹野博司調教師らの活躍をたたえた

 笠松競馬の2016年「騎手等成績優秀者表彰」が行われ、141勝を挙げてリーディングを獲得した佐藤友則騎手、2位の向山牧騎手ら9人の活躍や貢献をたたえた。調教師は3人が受賞。121勝でリーディングトップの笹野博司調教師、2位の川嶋弘吉調教師、3位の後藤正義調教師が栄誉を受けた。

 開業5年目でリーディングトレーナーとなった笹野調教師は43歳。元ピザ屋の店長というユニークな経歴の持ち主だ。小学生の頃、競馬ファンだった父親に連れられて行った笠松競馬場で、疾走する競走馬の姿に魅せられて、憧れを持つようになった。

 21歳から7年間ピザ屋に勤務。やがて店長にまでなったが、「人生は一度きり。好きなことを仕事にしたくて」と、それまでは競馬ファンの一人だったが、03年に29歳で笠松の厩務員に転職。勇気のいる決断だった。当時、笠松競馬は存廃問題で揺れ始め、現場から離れていく関係者もいたが、「調教師の志望者は少なく、逆にチャンスでは」と前を向いた。

写真:ピザ屋の店長から競馬の世界に飛び込んだ笹野博司調教師。2012年には管理するカネトシグレースで初勝利を飾った

ピザ屋の店長から競馬の世界に飛び込んだ笹野博司調教師。2012年には管理するカネトシグレースで初勝利を飾った

 馬と接するうち、「自分の思うような競走馬をつくりたい」との思いが強まった。12年5月に地方競馬の調教師免許試験に一発合格し、念願の調教師になった。6月にカネトシグレースで初勝利を飾ると、8月には、「鉄の女」とも呼ばれたトウホクビジンが重賞レース・姫路チャレンジカップ(川原正一騎手)を制覇した。トウホクビジンは、国内の重賞最多出走記録「130」を持ち、現存する全ての地方競馬場を駆け抜けた。9歳まで163戦に出走し、笹野調教師は「思い入れが強い1頭で、丈夫な馬だった」と、2年前の笠松での引退レースでねぎらった。

 手応えを感じながら少しずつ勝利を積み重ねた。ちょうど開業2年で通算100勝を達成し、「もっと時間がかかると思っていたが、馬主さんやファンの皆さんのおかげ。故障などに気を付けて、馬を完調で出走させることを心掛けたい」と感謝。やがて「最多勝利調教師になりたい」という夢が膨らんだ。2年目の54勝(リーディング8位)から、4年目に62勝(同3位)、昨年は一挙に勝ち星を倍増させて、ついにリーディングトレーナーの座をつかんだ。

 笠松の調教師は騎手出身者が多いが、ここ1、2年の笹野厩舎の躍進ぶりはすごいものがある。「最近、出走馬が多くなったなあ」と感じてはいたが、当初1頭から始めた管理馬が48頭にも増えていたとは…。昨年は笠松など全国の競馬場で計890レースに参戦。今年も2月までに29勝を挙げるハイペースで、笠松のトップを快走している。桜花賞馬オグリローマンのひ孫メディタレーニアン(牡4歳、母サンマルミッシェル)も管理する1頭で、今年2勝を挙げている。

 調教師という仕事は、強い競走馬を育成することが第一だ。そして「馬と人」のつながりの中では、騎乗依頼などの面で、馬主や騎手たちとの調整能力も必要となる。ピザ屋の店長から、競馬の世界にチャレンジし、38歳で調教師になった。異業種ではあったが、きっと、ピザ屋で働いていた頃に培った「サービス精神」や「営業力」などが、今の仕事にも生かされているはずだ。「オーナーやお客さんに、おいしい思いをしていただく」ということでは共通点もあるのだろう。

 笹野調教師にとって今年は、全国の重賞競走のほか、JRAのレースにも所属馬を参戦させて、初勝利を挙げることが大きな目標となりそうだ。笠松ファンにとっても頼もしい調教師で、今後も「おいしい馬券」を運んでくれることだろう。

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筆者プロフィール

【ハヤヒデ】
80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。