オグリの里

ハイジャ、笠松のスターホース

写真:名古屋でら馬スプリントを1着でゴールするハイジャ(名古屋競馬提供)

名古屋でら馬スプリントを1着でゴールするハイジャ(名古屋競馬提供)

 「金しゃちけいばNAGOYA」が誇る名物レース「第7回名古屋でら馬スプリント」。ラブミーチャンが3連覇した超短距離戦で、笠松生え抜きのハイジャ(牡4歳、井上孝彦厩舎)が、佐藤友則騎手の好騎乗で制覇した。笠松勢は4年ぶりに「最速王」の栄冠を奪回。新たなスターホースの誕生をファンに印象づけた。

 重賞としては珍しい800メートルの電撃戦。中央では、新潟の直線1000メートルが激しいバトルで人気だが、陸上の100メートルのような爽快感が味わえ、馬券も当たれば、夏場の暑気払いとしてスカッとする。でら馬スプリントは、地方競馬のスーパースプリントシリーズ(1000メートルまで)の地区トライアルとして実施され、名古屋、笠松、金沢のスピード自慢9頭が激突した。

 5番人気のハイジャは、勢いよく飛び出して2番手をキープ。抜群の手応えでトーホウハンター(宮下瞳騎手)を残り100メートルで抜き去ると、金沢のエトワールロゼ(田知弘久騎手)の追撃をかわし、2馬身差をつけて1着でゴール。直線一気の末脚が爆発し「友則来たー」と、笠松のファンの歓声も上がった。

写真:佐藤友則騎手(左)の好騎乗で優勝したハイジャ(名古屋競馬提供)

佐藤友則騎手(左)の好騎乗で優勝したハイジャ(名古屋競馬提供)

 ハイジャにとって、800メートル戦は圧勝した笠松の新馬戦以来。井上調教師は「距離の適性はある。乗りやすいから好位からでも」、佐藤騎手も「デビュー戦の走りから、いけそう」と好感触で臨んだ。3コーナー手前では後ろを振り返る余裕で、有力馬の動きを確認し「4コーナーでは勝てると思い、直線を向いてスパートした」。ひ弱い体質で「これまで悔しい思いもした馬だから、勝てて良かったです」と佐藤騎手。父シニスターミニスター、母ハイフレンドディア。2歳時から大物感があった未完の大器が、ようやく本格化した。

 レースでは、1番人気のレディエントブルー(大畑雅之騎手)が残り400メートルで、前の2頭に挟まれる形で落馬し、競走中止。最低の9番人気だった金沢・ビュウイモンが、笠松・向山牧騎手の手綱で猛然と3着に突っ込み、3連単44万円台の大波乱を呼んだ。ハイジャからの応援馬券を購入し、3連単は逃したが、馬単や3連複は的中した。

 ハイジャはデビュー時、笠松競馬の公募で馬名が決まった5頭のうちの1頭。ハイジャの由来は、三重県志摩地方の方言で「頑張れ」「走れ」といった掛け声からだそうだ。2歳時には、秋風ジュニアや重賞のゴールドジュニアを勝った実力馬だが、3歳春〜夏に順調さを欠いて東海ダービーを断念。生え抜き馬限定の西日本ダービー(園田)では5着と健闘した。順調なら、全国の快速馬によるファイナル「習志野きらっとスプリント」(7月25日・船橋)に参戦。ラブミーチャンのように頂点を目指して「ハイジャンプ」してほしいものだ。

写真:習志野きらっとスプリントを3連覇するなど地方競馬の最速女王として快走したラブミーチャン)

習志野きらっとスプリントを3連覇するなど地方競馬の最速女王として快走したラブミーチャン

写真:新馬戦デビューを目指すラブミーボーイ(1歳時)

新馬戦デビューを目指すラブミーボーイ(1歳時)

 スーパースプリントといえば、「ラブミーチャンのために新設されたようなレース」とも言われた。2011年の第1回から、名古屋でら馬スプリント、習志野きらっとスプリントを楽々と逃げ切って、3連覇の偉業を達成し、地方競馬の「最速女王」に君臨した。引退後は母親としても優秀で、15年から3年連続で無事出産。長男・ラブミーボーイ(父ゴールドアリュール)はJRAの2歳馬に登録。村山明厩舎(栗東)に所属し、新馬戦デビューを目指している。昨年は同じ配合で次男が誕生。今年3月には長女(父コパノリチャード)も誕生しており、毎年のデビュー戦が待ち遠しくなるし、将来の活躍が楽しみだ。

 各地転戦で活躍が目立つ笠松リーディングの佐藤騎手。高知優駿(高知)は、マルヨアキト(柴田高志厩舎)で3着と健闘。「スーパージョッキーズトライアル」第2ステージ(園田)では、有力な騎乗馬に恵まれず、6着、9着で総合7位となった。中野省吾騎手(船橋)が優勝し、世界の名手が腕を競う「2017ワールドオールスタージョッキーズ」(8月26、27日・札幌)への出場権を獲得。佐藤騎手は、来年以降もチャンスがあり、本戦出場が期待される。

写真:1990年、宝塚記念に挑んだオグリキャップは、単勝1.2倍と人気を集めたが2着に敗れた

1990年、宝塚記念に挑んだオグリキャップは、単勝1.2倍と人気を集めたが2着に敗れた

 ドリームレース・宝塚記念(25日・阪神)はキタサンブラック(武豊騎手)の1強ムード。単勝1倍台が濃厚だが、競馬に絶対はない。過去に阪神競馬場で観戦した2度の宝塚記念では、まさかの結末。1990年、安田記念を圧勝して臨んだオグリキャップは単勝1.2倍だったが、脚部不安からラストの伸びを欠いて2着。伏兵オサイチジョージの逃げに敗れた。2年前には単勝1.9倍のゴールドシップがゲートで立ち上がり、10馬身ほど出遅れ、15着に敗れ去った。過去20年の単勝1倍台は8頭だが、勝ったのはテイエムオペラオー(00年)、ディープインパクト(06年)の2頭のみ。昨年のドゥラメンテも単勝1.9倍で2着。「夏は牝馬が強い」と注目した7番人気マリアライトが優勝をさらった。

 4年連続で牝馬が3着以内に食い込んでいる波乱含みのレース。今年は11頭立てと少頭数で、穴党にもチャンスがありそう。牝馬は1頭のみだが、ミッキークイーンはオークス、秋華賞のGT2冠馬。直前の動きも良く、瞬発力勝負で一発を狙う。キタサンブラックとの馬連が軸。シュヴァルグラン、ゴールドアクター、レインボーラインの実績馬も有力。

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筆者プロフィール

【ハヤヒデ】
80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。