オグリの里

笠松の2歳牝馬ハイレベル

写真:カートバトルやデモ走行でトッププロの走りを披露した佐藤琢磨手(左)=2013年10月、中日本自動車短大

カートバトルやデモ走行でトッププロの走りを披露した佐藤琢磨選手(左)=2013年10月、中日本自動車短大

 今年5月、自動車レース「インディ500」で日本人初優勝を飾った佐藤琢磨選手。その積極的な走りは「今年最高のスポーツシーン」と言えよう。

 佐藤選手は、中日本自動車短大(岐阜県加茂郡坂祝町)の客員教授でもあり、4年前の大学祭で取材する機会があった。トークショーで佐藤選手は、レースで速く走るこつについて、「車を最短距離で真っすぐに走らせること、コーナーでも滑らせないことがタイム短縮につながる」と熱く語っていたのが印象的だった。

 「レースで速く」といえば、競走馬の走りでも同様で、「馬を最短距離で真っすぐに走らせること」が大切ではないか。第4コーナーでは、インを突いて内側の「経済コース」をロスなく走らせるか、包まれるのが嫌で思い切って大外を回らせるかは、ジョッキーの腕の見せどころだ。一瞬の判断力は、ゴール前でのハナ差の攻防を大きく左右する。

 佐藤選手運転のカートに同乗して、コースを周回した高校生は「スピード感と迫力があり、スムーズな走りで夢のようだった」と感激していた。コースを周回して1着ゴールを目指すジョッキーも、馬の気持ちに任せて「リズミカルでスムーズな走り」が求められる。特にまだ幼く、フワフワとして遊びながら走る若駒もおり、競走馬として鍛えることは、騎手や調教師たちもやりがいのある仕事だろう。

写真:笠松競馬の新馬戦の初戦を圧勝したフローレンスに騎乗する佐藤友則騎手(笠松競馬提供)

笠松競馬の新馬戦の初戦を圧勝したフローレンスに騎乗する佐藤友則騎手(笠松競馬提供)

 笠松競馬では、今年デビューした2歳馬たちが、好タイムを連発してハイレベルな戦いを繰り広げている。ここ数年の馬券販売の好調さもあって、レース賞金が毎年少しずつアップしており、北海道の馬産地から優秀な2歳馬が入ってきたようだ。

 5月末に始まった新馬戦は、8月初めまでに5レースが行われた。直前の出走取り消しで、3頭立てとなるレースが2回もあったが、800メートルのデビュー戦を飾った5頭はいずれも牝馬で、やはり夏場の強さを発揮。例年以上に将来性豊かな逸材がそろった印象だ。

 「一番星」を飾ったのは、井上孝彦厩舎のフローレンス(佐藤友則騎手)で、48秒3で駆け抜けた。2戦目も48秒1と圧勝し、コースレコードの47秒7に迫る好タイム。持ち前のスピードを生かして、2着馬には2レースとも8馬身差をつける楽勝劇。父は中央ダートで3勝を挙げたサウンドボルケーノで、フローレンスは唯一の初年度産駒。佐藤騎手は「いいスピードを持っているし、上積みが見込めて、今後も活躍できそう」と期待。井上厩舎には、楽しみな馬がもう1頭。セレイナ(佐藤騎手)が48秒0と好時計をマーク。父フリオーソで母はヒャクマンゴク。「相手が来た分だけ伸びて、なかなかのセンスを秘めた馬」と佐藤騎手。

 後藤正義厩舎のマーメイドモアナ(東川公則騎手)は新馬戦を持ったままで大差勝ちし、2戦目ではタイムを1秒縮めて48秒3で圧勝。まだ380キロ台と小柄で、「馬体はもっと増えてほしい。(各地の重賞でも活躍した)母マーメイドジャンプ以上の活躍を」と東川騎手。

写真:新馬戦をコースレコードに迫る47秒9で駆け抜けたスミセイフルールーには吉井友彦騎手が騎乗(笠松競馬提供)

新馬戦をコースレコードに迫る47秒9で駆け抜けたスミセイフルールーには吉井友彦騎手が騎乗(笠松競馬提供)

 新馬戦で1番時計をマークしたのは、尾島徹厩舎のスミセイフルールー(吉井友彦騎手)だ。47秒9と、コースレコードへ0.2秒差。好スタートを決めて加速し、直線も突き抜けて大差勝ち。父エンパイアメーカー、母シーアクトレス(母の父ネオユニヴァース)。追い切りでも古馬を圧倒する勢いで、「ピッチ走法で、乗り味もいい」と吉井騎手。新馬5戦目を勝ったのは笹野博司厩舎のマナラブレ(筒井勇介騎手)で、ゴール前での伸び脚が目立っていた。

 今年は素質の高い2歳馬がそろったが、現時点ではスミセイフルールーがややリードし、2番手はフローレンスか。マーメイドモアナも奥深さが感じられる。今月31日の秋風ジュニア、9月28日のジュニアクラウンなどで直接対決となる。各陣営は、猛暑続きの夏場を乗り切り、秋から年末にかけてのJRA認定レースや重賞戦線にも照準。「中央レースへの参戦」「来年の東海ダービーを狙える馬に」といった期待を膨らませていく。

 笠松3歳牝馬の活躍も目立っている。7月25日の金沢スプリントカップ (金沢、1400メートル)では、池田敏樹騎手騎乗のライスエイト(加藤幸保厩舎)が鮮やかな逃げ切りVを決めた。3番人気だったが、笠松仕込みの先行力を発揮し、潜在能力を開花させた。今年重賞を制覇しているアペリラルビーやグレイトデピュティ(牡3歳)も各地で上位をにぎわせている。

写真:オグリキャップ記念Vのカツゲキキトキト(大畑雅章騎手)は戦列復帰が楽しみだ

オグリキャップ記念Vのカツゲキキトキト(大畑雅章騎手)は戦列復帰が楽しみだ

 笠松の夏競馬、次の開催は14日から5日間連続で、15日には重賞「くろゆり賞」が開催される。4月のオグリキャップ記念優勝後、戦列から遠ざかっているカツゲキキトキト(名古屋)が、復帰戦として参戦する予定もあるという。でら馬スプリントを圧勝したハイジャ(笠松)との対決が実現すれば、ファンも詰め掛けて大いに盛り上がるだろう。

 

 

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筆者プロフィール

【ハヤヒデ】
80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。