オグリの里

ファイナル、渡辺騎手健闘8位

写真:大井2戦目で4着に入り、笑顔の渡辺竜也騎手

大井2戦目で4着に入り、笑顔の渡辺竜也騎手

 最終決戦となった大井、中山競馬場の大舞台で、いい夢を見させてもらった。

 笠松競馬でデビューして1年目の17歳・渡辺竜也騎手が「第1回ヤングジョッキーズシリーズ(YJS)」ファイナルラウンド(12月27、28日)の計4レースに出場。騎乗馬は、いずれも単勝50倍以上の人気のない馬ばかりだったが、初めての芝コース騎乗となった中山では3着に食い込んだ。3戦目を終えて4位につけて「表彰台」のチャンスがあった。最後は力尽きる形となったが、総合8位(34ポイント)と健闘した。

 大井の出場騎手紹介式では、武豊騎手と的場文男騎手が「伸び伸びと力を発揮し、優勝を目指して頑張って」と映像で応援メッセージ。2日間の熱戦の末、総合V争いは大混戦。船橋所属の臼井健太郎騎手が合計52ポイントで逃げ切り、初代チャンピオンに輝いた。1ポイント差で岩崎翼騎手(JRA)が2位、森裕太朗騎手(JRA)が3位。愛知の加藤聡一騎手は10位、金沢の栗原大河騎手は14位に終わった。

写真:ファイナルラウンドで腕を競った14人のヤングジョッキーたち=大井

ファイナルラウンドで腕を競った14人のヤングジョッキーたち=大井

 ファイナルは、全国の地方競馬場で行われたトライアルラウンドを突破した地方、JRAの若手騎手7人ずつが腕を競った。渡辺騎手は笠松、金沢での4戦で計2勝を挙げて、地方騎手全体のトップで通過。ファイナルでは騎乗馬に恵まれず、厳しい戦いが予想されたが、穴馬を上位に突っ込ませるなど活躍が目立った。

 大井のナイターでは7着、4着と着順を上げて、笠松仕込みの好調さを印象づけた。中山初戦となった芝コースでは、前走15着で12番人気のフォーワンタイキに騎乗。「おしまいは伸びてくる馬で、指示通りに脚をためて直線に懸けた」の言葉通り、最後にグイッと一伸びし、展開がうまくはまった。3着と馬券圏内(複勝1870円)にも絡み、全国の競馬ファンに名前を覚えてもらえた。

写真:12番人気のフォーワンタイキに騎乗し、3着に入った渡辺騎手=中山

12番人気のフォーワンタイキに騎乗し、3着に入った渡辺騎手=中山

 中山での出場騎手紹介式では、渡辺騎手も西日本地区地方騎手を代表して「普段(笠松では)こんなに注目されないですが、頑張ります」と初々しくあいさつ。スタンドのファンたちも、ほほ笑ましそうだった。

 中山での乗り方などは、先輩の佐藤友則騎手らに聞いていた。初めての芝コースの感想は「乗りやすくて最高に楽しかった」と、最終4レース目に優勝の希望をつないで、騎乗馬を積極的に押し上げたが、最後は馬群に沈んで、しんがりの14着に終わった。「完敗でした。いい位置を取れたが、外を回り過ぎたかな」。この世界、新人騎手にはそんなに甘くはなかった。

写真:中山での出場騎手紹介式で、西日本地区の地方騎手を代表してあいさつする渡辺騎手

中山での出場騎手紹介式で、西日本地区の地方騎手を代表してあいさつする渡辺騎手

 戦いを終えてホッと一安心。「騎乗馬は4戦とも脚質(差し馬)が似ていた」。広々とした大井では「直線が長かった。1戦目は、笠松のように3コーナーから早仕掛けになって、じっくりといけなかった(7着)。2戦目は、直線で外に追い出して伸びてくれた(4着)」。中央競馬の中山では「(地方競馬と比べて)直線が長くて、芝コースの最後の坂ではなかなか進まなかったが、追っていて楽しかった。3、4コーナーでの乗り心地は、電車が線路を曲がっていく感じでした(笠松競馬場西を走る名鉄電車を連想?)」と熱戦を振り返った。

 「年が近い先輩ばかりでしたが、JRAの騎手にも遠慮せずに乗れ、貴重な経験になった。他の競馬場にも遠征に行きたいが、ダートの方がいい。笠松の砂の質はすごくいいですね」。千葉県船橋市出身で、「父母、祖父ら家族や小中学校時代の友達からの声援がうれしかった」とにっこり。

写真:大井2戦目で東海勢が活躍。2着の加藤聡一騎手(愛知)と4着の渡辺騎手(右)

大井2戦目で東海勢が活躍。2着の加藤聡一騎手(愛知)と4着の渡辺騎手(右)

 同じ東海勢の加藤騎手は、大井初戦で13着と出遅れたが、「次頑張ります」との宣言通り、2戦目をマルリーコナンで2着。地元先輩の岡部誠騎手が乗っていた馬で、うれしい好走となった。中山最終戦では6着に終わり、順位を上げられなかったが、「3年目になる2018年はもっと経験を積んで、格好いい競馬をしたいです」と意欲を見せた。

 表彰式では、ヤンキースの田中将大さんらがプレゼンターを務めた。「14人の騎手がしのぎを削り、素晴らしいレースを見せていただきました。トップジョッキーを目指して、さらに大きな舞台で活躍してください」と飛躍を期待。優勝した臼井騎手は、最後は4着だったが、「感無量です。まさか優勝できるとは思っていなかったので、びっくりです。大井で最初に勝てたのが良かった。地元に戻って、自分の馬でまた中央に乗りに来たい」と歓喜の表情だった。

写真:優勝した臼井健太郎騎手らが、ヤンキースの田中将大さんから祝福を受けた=中山手

優勝した臼井健太郎騎手らが、ヤンキースの田中将大さんから祝福を受けた=中山

 ファンの熱い視線を浴びた藤田菜七子騎手(JRA)は7着が最高で、不完全燃焼の13位に終わった。「結果は残念でしたが、同世代との競馬は刺激になりました。昨年よりも成長できた1年でしたが、まだまだなので頑張りたい」と飛躍を誓った。

 ジョッキー人生をスタートさせたばかりの渡辺騎手。2年連続リーディング確実の笹野博司調教師のお世話になり、騎乗機会にも恵まれており、笠松競馬を選んで本当に良かった。年末シリーズ前までに地方競馬で35勝を挙げ、今回のヤングジョッキーズでの活躍も認められれば、NARグランプリ2017の優秀新人騎手賞を受賞する可能性が十分にある。前年は56勝を挙げた加藤騎手が受賞しており、東海勢の若手ジョッキーは頼もしい。金沢ラウンドでは渡辺、加藤騎手のワンツーがあったように勝負強く、ともに将来性豊かだ。

写真:2017年の競馬を振り返る藤田菜七子騎手=中山

2017年の競馬を振り返る藤田菜七子騎手=中山

 渡辺騎手は、2018年もこのシリーズのファイナルに参戦できるよう、笹野調教師や先輩騎手らのアドバイスをよく聞いて、騎乗技術を磨いていきたい。新たな「笠松ドリーム」は始まったばかり。全国のステージでも活躍できる生え抜きのスターホースと出会い、重賞戦線で活躍できるといい。

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筆者プロフィール

【ハヤヒデ】
80年代から笠松競馬を愛し、オグリキャップの走りに感動した競馬ファンの一人。岐阜新聞社に勤務。