「あれは何の木か分かりますか」。福島県北部の伊達市近郊で、案内してくれた地元の知人が質問してきた。
畑に幹の白い木が何本も植えられている。小高い里山にも山腹を埋めるほど並んでいる。木肌が白い樹木といえば、サルスベリ、クロガネモチ、シラカバ…。いずれも樹形が違う。何だろう。
答えは柿だという。品種は蜂屋柿。美濃加茂市蜂屋町の原産で、思い掛けない縁に驚いた。硫黄燻(くん)蒸(じょう)して乾燥させ、特産の「あんぽ柿」になる。
柿の木は放射性物質を吸収しやすく、他の果実よりも高濃度で蓄積される。あんぽ柿では乾燥させることでさらに濃縮されるとの検査結果が出たことから、昨年秋に出荷自粛措置が取られた。
除染のため1本1本、高圧洗浄機で樹皮をはいだ結果、枝の先まで白くむき出しになっている。
栽培農家の人たちは、どんな思いで作業を行ったのだろう。今年の秋にこれまで通りの実が成るかは分からず、出荷の目途も立たないという。
福島県の面積は北海道、岩手県に続いて全国で三番目に広い。浜通り、中通り、会津と独特の地域分けで呼ばれる。
会津若松市では、白虎隊自(じ)刃(じん)の地である飯盛山を訪ねた。墓地を出て自刃したとされる場所に向かう途中に、「凌(りょう)霜(そう)隊之碑」が立っていた。
戊(ぼ)辰(しん)戦争で会津藩を応援した郡上藩凌霜隊の45人は、各地を転戦したが若松城で降伏。生存者は郡上に戻されたが、幽閉生活を強いられた。昭和59年、その史実が後世に記憶されるようにと、郡上の人々によって建立されたのがこの碑。ここでも岐阜と福島の縁を再認識した。
その夜、会津若松市内の有名居酒屋で、蹴飛ばしと呼ばれる馬刺しやニシンの山(さん)椒(しょう)漬を肴(さかな)に味わう地酒は、澄んで瑞々(みずみず)しかった。豊かであるべき福島の大地に課せられた苦難を思った。



































