北朝鮮が党、議会の重要会議を相次いで開催し、核兵器開発の強化と経済建設の両立を「新方針」として打ち出した。日米韓への核攻撃も辞さず、と常軌を逸したような威嚇をエスカレートさせている中での決定で看過できない。

 核兵器の開発や維持管理が、どれほど国力を疲弊させるか冷静に考え、核保有の幻想を捨て去るべきだ。緊張をあおり続けていては、北朝鮮が望む「経済強国」建設などは、とうてい不可能だ。

 一連の会議では、核開発を法制化、長距離弾道ミサイルの開発と発射を続けることも決定した。会議直後には、6カ国協議の合意で凍結していた寧辺の核施設を再稼働させることまで表明した。

 核実験や「人工衛星」と称する長距離弾道ミサイルの発射に対し、国連安全保障理事会が採択してきた一連の制裁決議への明白な挑戦だ。制裁を受け国際社会から孤立し続けたままでは、経済再建の展望は開けない現実を直視すべきだ。

 北朝鮮のとどまることのない挑発的で好戦的な言動の狙いが、金正恩第1書記の「度胸があり決断力がある」最高指導者としての実績づくりや権力基盤固めにあるとすれば、とんでもない誤算だ。非核化へのプロセスに戻り、国際社会と共存する道こそが体制維持の唯一の選択だ。

 北朝鮮は核兵器保有により、米国と「対等に渡り合える」「安心して経済建設に集中できる」などと主張する。イラクの旧フセイン政権や、リビアのカダフィ大佐の末路を取り上げ、「核は決して放棄できない」とかたくなに非核化を拒否している。

 しかし、米国との核軍備競争の末、国力が衰退し、連邦解体に至った旧ソ連の教訓こそ北朝鮮は思い返すべきだろう。

 今日、北朝鮮に対し軍事力を行使して朝鮮半島や北東アジアの情勢を混乱させようとする国はない。実態の伴わない「外部の敵」をつくり上げ体制結束を図ろうとする手法を続けていては、経済建設どころか国家運営は破綻に向かうしかない。

 北朝鮮は、核拡散防止条約(NPT)体制の枠外で核実験を実施、当初は日米などから経済制裁を受けながら、核兵器を保有したまま関係を改善したインドやパキスタンの事例を意識している可能性もある。

 しかし、両国と北朝鮮では、核保有の事情が全く異なる。そもそも、インドとパキスタンの核保有の背景には両国の対立があり、米国を「敵」と見なして立ち向かう手段ではなかった。

 北朝鮮にとって外交、経済の両面で最も依存度の高い中国は、税関検査の厳格化や金融取引の監視強化など徐々に制裁圧力を強めているとされる。国内で起きている北朝鮮に批判的な論議を厳しく統制する動きも見せていない。これが中国のメッセージだと北朝鮮は真剣に受け止めるべきだ。

 日米韓など関係国には、北朝鮮との偶発的な衝突を回避する慎重な情勢判断が求められる。米国は現在実施中の韓国との合同軍事演習で、B52戦略爆撃機や核兵器搭載可能なB2ステルス戦略爆撃機を投入、北朝鮮は金第1書記が軍の対策会議を緊急招集するなど敏感に反応している。

 北朝鮮への警告行動が、局地的であれ軍事衝突につながらないよう関係国は危機管理を徹底させるべきだ。