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「制作者と茶人(あるいは鑑賞者)の思いは必ずしも同じでなくてもいいんです。茶の湯という非日常の世界を共に楽しむことではないでしょうか」と美濃陶芸協会会長の加藤幸兵衛さんが器を前に語ったのが印象的だった。
▼協会恒例の庄六賞展会場(岐阜高島屋)だが、16回目の今年は趣が違う。名称もこれまでの茶碗(ちゃわん)展から茶陶展に変わり、茶わん、茶入、水指、香炉、花入などと器もさまざまだ。
▼作品一つ一つに込められた美濃の陶芸家たちの創意と熟練の技。茶わん一つでも同じ表現はないが、さらに器の種類が増えれば、その組み合わせの妙も尽きない。
▼今回、庄六賞を受賞したのは岩田渓山さんの「燿彩(ようさい)天目水指」。闇夜の星、深海の発光体のような玉の文様が器の内外に広がり、わび、さびとはまた異なる華やかさ、神秘さを持つ輝きだ。その岩田さんも「見る方それぞれに楽しんでいただくのが器」とおおらかだった。
▼形と景色(肌合いや模様)が生み出す茶陶の魅力は、土と炎の力を借りた作家の「自由」な感性が生み出したもの。とはいえ器を手にすると、自由さよりは緊張が先立つのが茶の湯に不案内の者の常。
▼ただ辞書には「茶人」の項に「一風かわった物好き」(広辞苑)ともあった。伝統の内にも斬新さを秘めるのが美濃茶陶の強みだ。ぎすぎすしがちな世の中、ときには自由な造形の世界に遊びたい。
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