【コラム】「あと一歩」はディフェンスだった


スポーツ担当になって、真っ先に担当した球技はラグビーだった。高校、大学ラグビーの指導者にイロハを教えてもらいながら、当初はルールすら把握してなかった競技の面白みを存分に楽しませてもらったのを覚えている。南アが頂点に立って幕を閉じたラグビーのフランスW杯。決勝・南ア×イングランドをテレビ観戦し、そして奇しくも同日にFC岐阜が約2カ月ぶりのJFL勝利を収めたジェフリザーブズ(千葉)戦を取材して、しみじみと「チームで戦う球技」におけるディフェンスの重要さを感じさせられた。
ラグビーにおける攻撃は、大まかに〝重戦車〟などと評されるFW(フォワード)によるものと、鮮やかなパス回しと俊足を武器としたBK(バックス)の展開で組み立てられる。W杯決勝は、「互いにどんな巧みなBK展開も、相手のディフェンスを切り裂けなかった」という印象を受けた。要するに、両チームともディフェンスの意識が高く、結局は勝ちが南アに転んだような印象。ビデオ判定が持ち込まれた珍妙な出来事もあったが、いち日本人から見ると「いい試合を見せてもらった」とすがすがしかった。
翻ってFC岐阜はどうだったか。FC岐阜はまず前半43分に相川が先制、後半5分にMF高木が2―0とした。スコアで言うと大きな「2点のリード」だが、実際は、かなりジェフの攻撃にさらされていた時間が長かったのだ。
ジェフはJFL27試合を終えて、総得点40(岐阜は31)。1試合当たりの平均にすると1.5点(同1.1点)だ。ここで気になるのは(岐阜の決定力の無さではなく)、ジェフから岐阜が2点取られなかったという点。ジェフが中盤のポゼッションから前に繰り出す攻撃に関しては、なかなか面白かった。さすがJ1千葉の下部チーム。FC岐阜のイレブンは、本当によく守ったと思う。
再びラグビーの話に戻る。決勝は両チームとも、15人が一つの規律に沿って動き、アメーバのように相手の突破を食い止めていた。BKは頭脳的に相手の展開を遅らせ、FWは積極的に速く、効果的にポイントに飛び込んでいた。よく言われる「全員守備」の強さが双方にはあった。
FC岐阜のイレブンもラインをコンパクトにし、「前からプレスに行くのか」「一旦、引いて守るのか」の規律を守ろうと奔走していた。ディフェンスは最終ラインとGKのみで行うのではなく、プレスの〝効き〟が増すよう、松永監督が言う「コンパクトフィールド」を気に掛けていた。対するジェフは、特に後半は集中が切れ、切り替えても良い攻撃に結び付かずに苦心していたように思う。結果的に勝ち点「3」をもぎ取ったのは、「全員守備」の堅守をみせたFC岐阜だった。
特に後期戦では「あと一歩」の試合を何度も取りこぼし、Jリーグ入りに向け黄信号が灯っているFC岐阜。「何が足りないのだろうか」と番記者なりに思案ばかりしていたが、結果を出すためのあと一歩は、やはりディフェンスにあったのだとジェフ戦は痛感させてくれた。ディフェンスのいいチームは強く、そして「負けない」のだ。
日本フットボールリーグ(JFL)後期第11節最終日は21日、残り4試合を行い、7位のFC岐阜は、アウエーの千葉県東総運動場で5位のジェフリザーブズ(千葉)に2―1で勝ち、5位に順位を上げた。FC岐阜のJFLでの勝利は4試合ぶりで、後期通算を2勝4敗5引き分けとした。
