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93歳染織家の軌跡

「志村ふくみ展−いのちの色に導かれ」
(名都美術館 愛知県長久手市)

 植物染料によるつむぎ織りを作り、文化勲章も受けた染織家志村ふくみさん(93)の作品世界を紹介する特別展「志村ふくみ展―いのちの色に導かれ」が3月18日まで、愛知県長久手市の名都美術館で開かれている。自ら染めた絹糸を反物にして仕立てた60年以上にわたる作品三十数点を年代順に並べ、奥深い色を引き出し、表現の幅を広げた軌跡を紹介している。

 格子やしまなどの文様やグラデーションを描いた着物など、展示品は志村さんの出身地滋賀県の県立近代美術館が収集してきたもの。同館が増築工事に伴い長期休館に入ったのを機に借り受けた。東海3県で展示されるのは初めて。

 庶民の日用品に美を見いだす民芸運動に参加した母親に指導を仰ぎ、染織の世界に入った志村さん。古里の琵琶湖の風景に着想を得た作品もあり、「雁(かり)」という着物は、秋の風情に染まる自然を背景に、ねぐらへ帰る雁をほうふつさせるしみじみとした味わい。志村さんが「情念の赤」と呼んだスオウで染めた深紅の糸で織った鮮烈な色の着物も目を引く。

 「源氏物語」の場面をテーマにしたシリーズも。光源氏がかつて愛した女性を訪ね心の平安を得る巻「花散里(はなちるさと)」の名を付けた着物は、淡い桃色から落ち着いた色への変化が表れている。光沢のあるカラフルな染め糸が並ぶ糸だんす、志村さんがカットした端切れを貼った金びょうぶもある。

 名都美術館の主任学芸員鬼頭美奈子さんは「心象風景を織り込んだ絵画的な作品、色を感じさせる源氏物語シリーズなどから、着物を芸術の域に高めた志村さんの精神を感じてほしい」と話している。今月14日から後期展になり、全ての着物が入れ替わる。

案内

 開館時間=午前10時〜午後5時。月曜日休館(今月12日は開館し、翌13日が休館)。入館料=一般1000円、大学生700円、中高生500円、小学生以下無料。交通=名古屋市営地下鉄東山線「藤が丘」で愛知高速交通東部丘陵線(リニモ)に乗り換え、「杁ケ池(いりがいけ)公園」下車、徒歩5分。問い合わせ=名都美術館、電話0561(62)8884。

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志村ふくみさんが手掛けた植物染料によるつむぎ織りの着物が並ぶ会場

志村ふくみさんが手掛けた植物染料によるつむぎ織りの着物が並ぶ会場

さまざまな端切れを貼り付けた金びょうぶも目を引く=いずれも愛知県長久手市、名都美術館

さまざまな端切れを貼り付けた金びょうぶも目を引く=いずれも愛知県長久手市、名都美術館

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バックナンバー

  • 「志村ふくみ展−いのちの色に導かれ」
  • 「織り目の在りか 現代美術in一宮」展
  • 企画展「寿ぎの四季」
  • 企画展「木彫りどうぶつ美術館 はしもとみおの世界」
  • 寄贈品展「戦争を語り継ぐモノたち」
  • あいち航空ミュージアム MRJミュージアム
  • 開館記念企画展「今、甦る陶磁器明治・大正」
  • ノリタケの森
  • 特別展「没後60年 川合玉堂」
  • 長沢芦雪展
  • 特別展「奈良大和路 春夏秋冬」
  • 東邦ガス ガスエネルギー館
  • イラストレーター 安西水丸 漂う水平線 ホリゾン
  • 奈良美智 for better or worse
  • 天下人の城−信長・秀吉・家康−
  • 愛知・名古屋 戦争に関する資料館
  • 「もっと知りたい名画の世界 よそおいの200年」
  • ドクターイエローの軌跡
  • 「自然を写す 心を映す〜日本画から一句〜」
  • 「よみがえれ!シーボルトの日本博物館」
  • フィンランド・デザイン展
  • 特別展「恐竜の大移動」
  • 特別展「田村能里子 風を聴く旅」
  • 「ひつじのショーン展」
  • レトロでんしゃ館
  • 「ヘレンド―皇妃エリザベートが愛したハンガリーの名窯」
  • 「永青文庫 日本画の名品」
  • 三菱東京UFJ銀行貨幣資料館
  • 「メナード美術館コレクション名作展−とっておきの名画と出会う」
  • 「森のDNA−芸術は森からはじまる−」ヤマザキマザック美術館
  • 「日本で洋画、どこまで洋画?−高橋由一から現代画家まで−」
  • 「デビュー30周年記念 さくらももこの世界展」
  • 「蜘蛛の糸 クモがつむぐ美の系譜−江戸から現代へ−」
  • 「三英傑とともに歩んだ浅野長政〜いちのみやの戦国時代〜」
  • 「茶の湯にみる風流−枯淡と風雅−」
  • ボストン美術館所蔵 俺たちの国芳 わたしの国貞
  • 「加藤金一郎と丹羽和子−絵は人生−」
  • あいちトリエンナーレ2016
  • 「アルフォンス・ミュシャ デザインの仕事」
  • 「生誕80周年記念 藤子・F・不二雄展」
  • 「パリの巨匠 アイズピリ 描きつづけた80年」
  • 「ジャパン・デザイン−日本の美をもとめて−」
  • 「生誕130年記念 藤田嗣治展 東と西を結ぶ絵画」
  • 「アンコール・ワットへのみち」
  • 幸兵衛窯歴代展
  • 「ルノワールの時代 近代ヨーロッパの光と影」
  • 「近代建築 ものづくりの挑戦」
  • 浮世絵企画展 広重の花鳥版画
  • 「ピカソ、天才の秘密」
  • 「生誕百十年記念 三岸節子展 私は燃えつづける」

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