高齢者向けの弁当配達 関ケ原町の喫茶店、来春から事業 − 岐阜新聞 Web

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高齢者向けの弁当配達 関ケ原町の喫茶店、来春から事業
2017年12月03日 10:15
写真:高齢者向けの弁当配達 関ケ原町の喫茶店、来春から事業
高齢者への弁当配達事業を始めようと立ち上がった(左から)辰巳功匠さん、黒田真弓さん、辰巳佳巨子さん=関ケ原町関ケ原、月花

◆買い物や病院送迎サービスも

 岐阜県関ケ原町在住の高齢者向けに弁当を配達する事業を来春から始めようと、大津市から同町へ移住予定の夫婦ら3人が準備を進めている。弁当の購入者には、要望に応じてスーパーマーケットや病院への無料送迎を付けるなど、移動手段に困っている高齢者にとってうれしいサービスも検討している。メンバーの1人で同市の鑑定士、辰巳功匠(こうしょう)さん(54)は「困っているお年寄り、大好きな関ケ原のために」と熱い思いを語る。

 事業には辰巳さんの妻佳巨子(かおこ)さん(59)と、同町関ケ原で喫茶店「月花」を営む黒田真弓さん(52)が携わる。辰巳さんが歴史好きということもあって、佳巨子さんと同町をたびたび訪れていた。辰巳さん夫婦と黒田さんは昨年、共通の友人を通じて知り合い、夫婦は同店へ通うようになった。

 事業を起こすきっかけとなったのは、同店での3人の会話。高齢者への福祉サービスが町内には少ないことが話題になり、「行政は運転免許証の自主返納を進めるが、関ケ原では車がないと不便」「コミュニティーバスだと行く場所が限られる」といった意見が出た。加えて、黒田さんが喫茶店の営業の傍ら、6月から手作り弁当の配達を始めたことや、辰巳さんが介護ヘルパーの資格を持っており、高齢者についての知識があることを総合した。

 県や町によると、10月1日現在の同町の総人口は7054人。うち高齢者は2724人と38.6%を占め、県内42市町村の中で6番目に高い。2013年同時期は33.5%だったのが年々緩やかに上昇している。今年10月末時点で一人暮らしの高齢者は438人(施設入所者を除く)。

 事業は、3人が「まさにチャレンジ」と言うように元金や補助金がない状態でのスタートとなる。主に黒田さんと佳巨子さんが調理を、辰巳さんが配達や送迎を担う。週3日か5日で配達し1カ月ごとに契約する考え。3年間は続けて軌道に乗せたいという将来像を描くが課題も多い。実績がない中での挑戦。送迎サービスの充実を図ろうとすると、車の維持費やガソリン代などがかさみ、弁当の値段を上げなければならない。辰巳さんは「まずはやってみないと。課題ばかり考えていたら動けなくなるだけ」と前を向く。

 辰巳さん夫婦は現在、町内で借りた家の修繕で週1回ほど通い、徐々に友達も増えてきたという。移住先での新規事業について「覚悟はいるよ。でも、好きな関ケ原に住んで仕事ができるのはありがたい。支えてくれる人への恩返しのつもりで取り組む」と辰巳さん。2人の熱意あふれる様子に黒田さんは「関ケ原を好きでいてくれることがうれしい。自分も頑張らないと」と笑顔を見せた。