【移動編集局】地方創生〜チカラは地から〜 中濃編

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外国籍の子、定住を 可児市、人口増へ教育整備、就労には課題

外国籍の子、定住を 可児市、人口増へ教育整備、就労には課題
修了式で起立する外国籍の児童生徒=2日、可児市土田、ばら教室KANI

 可児市で外国籍の子どもが急増している。今年5月1日時点の児童生徒数は547人と過去最多で、10年前に比べて1・8倍。製造業に日系フィリピン人の労働者が増えて定住化が進み、本国から子どもを呼び寄せるケースが相次いでいるためだ。就学前の児童生徒を対象にした、日本語や日本の慣習を学ぶ教室など教育現場での整備が進む。少子高齢化が加速する中、市は人口10万人を12年間維持しており、外国籍の子どもたちに定住してもらい、人口増につなげようとしている。

 「マイニチ、トッテモタノシカッタデス」。日本語などを教える同市土田の「ばら教室KANI」で2日、フィリピン国籍の子ども3人の修了式が開かれた。3人は深々とお辞儀し、日本語で感謝の言葉を述べた。

 市が2005年から運営する施設で、公立小中学校に就学を希望する子どもは、約3カ月間、学校生活に適応できるよう指導を受ける。これまでに666人が修了した。

 3人のうち女子生徒(13)の父で日系人のホマンイト・イットさん(43)は、来日19年目。16年前に妻(43)、今年4月に娘を呼び寄せた。「娘には大学卒業後、日本で働いてほしい」と望む。

 また女子児童(11)の父で日系人のガリオ・ブラヤンさん(39)は、愛知県の製造業に派遣として勤務。可児市に住む理由を「4歳の次女が通いやすいフィリピン人向けの幼稚園があるし、教育の支援体制が充実しているから」と話す。

 進学熱の高まりを受け、東濃高校(可児郡御嵩町御嵩)は15年から、「国際クラス」を全学年に設置。本年度は外国人計34人が日本語などを学んでいる。

 こうした外国人の若者を企業がどう迎え入れるのか、課題も残る。外国人約300人が派遣などで働く自動車部品メーカー東海化成工業(同町御嵩)は昨年、高卒の外国人を初めて正社員として採用した。製造現場で経験を積む毎日だが、日本語の分からない外国人と日本人社員との橋渡し役となり、社内の意思疎通が円滑になったという。外国で生まれ、日本で育った者だけができる仕事ともいえる。

 市国際交流協会の各務眞弓事務局長は「10年、20年先に親が介護保険の適用を受ける時代が来る。子どもは派遣ではなく、安定した仕事に就いてほしい」と指摘する。

【製造業と外国人】 2014年の県内市町村別の製造品出荷額で、可児市は3番目と製造業が盛ん。外国人は主に派遣など有期雇用の労働者として製造業の屋台骨を支える。市の外国人居住者数は現在、6千人を超え、県内市町村では岐阜市に次いで多い。08年のリーマン・ショック以降、かつて多数を占めた日系ブラジル人が減り、代わって日系フィリピン人が急増。フィリピン人の人口は今年、約3千人と県内市町村では最多となっている。

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