【移動編集局】地方創生〜チカラは地から〜 中濃編

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長鉄の挑戦どこまでも 「ながら」好調、次はヤマトと連携

長鉄の挑戦どこまでも 「ながら」好調、次はヤマトと連携
客車に荷物を載せるヤマト運輸や長良川鉄道の社員ら=7日午後1時15分、関市元重町、関駅

 美濃加茂市から郡上市北部までの72.1キロをつなぐ第三セクター長良川鉄道(本社・関市)。沿線の人口減少などによる乗客減というローカル線共通の悩みを抱える。観光列車「ながら」の導入など、対策を打ってきた同鉄道の新たな挑戦は、大手宅配業者と連携し、客車で荷物を運ぶ「貨客混載輸送」。ローカル線の新たな生き残り策を追った。

 同鉄道と連携するのは、宅配最大手のヤマト運輸。両社の構想は、関駅(関市)で客車にヤマトの荷物を積み、美並苅安駅(郡上市美並町)まで約23キロの片道を、1日1便運ぶ。駅で待っていたヤマトの運転手が荷物を受け取り、同町内に配達する。来年2月の本格運用を目指すという。

 同鉄道にとっては、年間数十万円規模ではあるが、輸送量収入を経営基盤の強化につなげる狙いがある。利用客は沿線の人口減に比例して減少している。乗客の総数は、1992年度の約180万人、安定収入が見込める通勤・通学定期利用客も同年度の約120万人がともにピークで、昨年度はそれぞれ半分以下に減少した。

 また、レールや枕木など老朽化した設備の更新費も重くのしかかる。特に枕木は、延長約50キロの区間が木製で、コンクリート製への交換は待ったなしだ。

 「施設を自治体が保有・管理する上下分離方式も選択肢」と、坂本桂二専務(70)は苦しい状況を明かす。

 そうした状況下で昨年導入した観光列車「ながら」は、健闘している。昨年度は約1万7500人(貸し切り利用除く)が乗車し、乗車率は約94%と好調で、定期外収入の増加につながった。ただ、本年度は4〜9月の乗客数は約7700人(同)、乗車率は約78%に低下した。

 「『ながら』頼みでは続かない。好調なうちに次の手を打たねば」と、坂本専務。本年度も、郡上市八幡町の紅葉の名所とタイアップしたフリー切符など、さまざまなイベント列車を企画した。「乗客増はもちろん、観光客を沿線に誘致したい。鉄道は赤字であっても、沿線に恩恵をもたらすことが使命」と強調する。

 新手のヤマトの荷物輸送は、効果を見極め「郡上市北部までの延伸も考えたい。また、客足が減る冬場対策も考えている」と先を見据える。「住民の足である鉄道を守り通す」という決意は揺るがない。

【県内のローカル線】 地域鉄道と呼ばれる、JRと大手私鉄以外の鉄道は県内に四つある。旧国鉄路線で第三セクターの長良川鉄道、樽見鉄道、明知鉄道と、近鉄子会社の養老鉄道で、いずれも昨年度決算は赤字となっている。養老鉄道は、今年2月に鉄道施設や車両の管理などを担う養老線管理機構が沿線7市町によって設立された。

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