【移動編集局】地方創生〜チカラは地から〜 中濃編

活かせ!中濃の資源

本美濃紙次代へ新風 工房開設、活用法も提案

本美濃紙次代へ新風 工房開設、活用法も提案
澤村正さんの工房で紙を漉く寺田幸代さん=9月、美濃市蕨生

◆神奈川出身、保存会の研修生

 1300年の歴史を持つ美濃和紙の中でも高級品の本美濃紙。2014年11月に「和紙 日本の手漉(てすき)和紙技術」が国連教育科学文化機関(ユネスコ)無形文化遺産に登録され注目を集める一方、本美濃紙を漉くことができる本美濃紙保存会員は7人でそのうち60歳以上が5人と、高齢化は深刻化している。しかし、伝統を受け継ごうと挑戦を続ける若者たちがいる。その1人が、同保存会研修生の寺田幸代さん(37)=美濃市蕨生=。「伝統を守りつつ、新しくしなければいけないこともある」と思いを語る。

 寺田さんは神奈川県出身。30歳を機に、元々興味を持っていた紙工芸に携わる仕事を見つけるため全国を回った。その中で縁があったのが美濃市。12年3月に初めて訪れた。「町の雰囲気が良く、直感でここに住みたいと思った」と振り返る。

 美濃和紙の里会館(同市蕨生)で紙すきコースを体験後「弟子を取ってくれるところは無いか」と尋ねたが断られた。諦めきれず、母親の住む静岡県でアルバイトをしながら連絡を続けた。12年末「話を聞いてくれる人がいる」と言われ再び美濃市へ。その相手が当時、後継者を探していた本美濃紙保存会の澤村正会長(87)だった。面接の結果、澤村さんが受け入れを承諾。寺田さんの熱意に触れ「彼女ならやれる」と一目で感じたという。

 同会館で働きながら澤村さんの元に通い、師匠が紙を漉き終えた後の薄い水で練習を重ねた。「紙漉きになるからには、自分の工房を持つ」との決意から、先月末、同市蕨生に「テラダ和紙工房」を開設して独立した。

 工房には、小物作りやスクリーン印刷の体験など、ワークショップができるスペースを設けた。「職人は紙を漉くだけでは生計が成り立たない時代。紙をどう使うか、活用法まで提案したい」との思いからだ。紙を売るための営業もするなど、外から来た寺田さんだからこそ見える切り口で“和紙界”の未来を切り開いていく。

 会員が3人まで減少した時期もあった同保存会だが、市による育成支援や職人の弟子受け入れなどで後継者の育成は進む。同保存会の研修生は、寺田さんを含めて11人。技が認められ、会員になるには少なくとも10年はかかるという。伝統を後世に残すための新しい風が、和紙の里に吹いている。

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