【移動編集局】地方創生〜チカラは地から〜 飛騨編

飛騨を拓く

林業、トップになれる 正プラス社長 稲本正さん

林業、トップになれる 正プラス社長 稲本正さん
「飛騨地方の広葉樹林は国内有数。戦後林政の改革が始まり、トップランナーになれる」と語る稲本正さん=高山市清見町牧ケ洞、正プラス

◆国内有数の広葉樹林、木の文化も強み

 「林政改革が始まろうとしている。面積の90%以上が森林の飛騨は、国内でも有数の広葉樹林があり、木の文化や産地形成がまだ残っている。1周遅れのトップランナーになれる」。高山市清見町牧ケ洞の正(せい)プラス社長稲本正さんは熱く語る。

 昨秋、林野庁の「多用な木材需要に対応するための需給動向調査」の委託事業で、北海道から九州までの全国主要5カ所の広葉樹林の分布や植生をアジア航測(川崎市)とともに調査した。

 その結果、飛騨の広葉樹はブナ33%、ミズナラ12%と、この2種が約半数を占めるのが特徴と分かった。広葉樹の資源量は、北海道や東北に比べ、面積では及ばないが、切り出しから木材市場、製材、加工と一連の木工産業を形成している地域は、飛騨が全国で一番という。「東北地方の人からもう手遅れだ。もっと早く来てほしかったと言われた」と明かす。

 「飛騨には材の目利き、技術を持った製材所、建築職人、国内では最も元気だと言われる家具産業が残り、飛騨の匠(たくみ)に象徴されるように文化とのつながりが深い。木工に関心のある若手が全国から集まり、まだ、産地としてぎりぎり確立できている」と飛騨の優位性を示す。

 国内の森林は戦中、戦後に木が大量に切られ、その跡地にスギ、ヒノキが植えられ続けてきた。「ブナ退治とばかりに植林し、単層の人工林に変わってしまった」と、戦後林政の“拡大造林”が、現在の低迷する林業の要因の一つではないかと指摘する。

 飛騨でも植林は行われてきたが、山が急峻(きゅうしゅん)のため、ほかの地域よりも人が入りづらく、人工林の割合が低いという。さらに、林野庁が今回の調査をするなど、日本の多種多様な木の利用、活用へと林政が変わり始めている。大規模開発も少なく、植林にも“乗り遅れた”飛騨が、時代の流れの中で、結果的に貴重な存在として浮上。“1周遅れのトップランナー”になり得るという。

 飛騨に移住して43年。国内はもとより、世界各地の森林を見てきた。「日本の森は水平と垂直分布があり、世界的に温帯林生態系が極めて豊か。飛騨は国内の先頭に立って時代を先取りし、従来の取り組みから脱皮し、改革すれば、世界に向けて大いに発信できる」と力を込める。

 富山県出身。立教大理学部卒。1974年に高山市へ移住。工芸村のオークヴィレッジを創設し、木工から建物まで幅広い工芸を展開。環境保全の森づくり活動も行い、森林生態系の重要性を発信し続けている。15年前、木から抽出したアロマによる精油販売会社の正プラスを設立した。71歳。

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