【移動編集局】地方創生〜チカラは地から〜 飛騨編

飛騨を拓く

住民が語り合う場を 元白川村地域おこし協力隊員 柴原孝治さん

住民が語り合う場を 元白川村地域おこし協力隊員 柴原孝治さん
「住民同士が語り合う場をつくりたい」と、改装した古民家でカフェを営む柴原孝治さん=14日、大野郡白川村平瀬、アオイロ・カフェ

◆空き家にカフェ、村の絆育む

 世界文化遺産の白川郷合掌造り集落がある大野郡白川村荻町地区から南へ約12キロ進んだ先に、元村地域おこし協力隊員の柴原孝治さんが自宅で営むカフェがある。周辺はひっそりとして、訪日客でごった返す荻町地区のようなにぎわいはない。高齢化が進み、柴原さんは地域活性化を模索しながらも突破口を見いだせずにいる。「この地域をどうしたいのか、住民同士が語り合う場が必要だ」

 カフェがあるのは、村の南部に位置する平瀬地区。かつて湯治場として栄えたが、2008年の東海北陸自動車道の全線開通を境に車の流れが変化し、観光客は激減。過疎化が進み、11年には地元の平瀬小学校が136年の歴史に幕を下ろした。

 都市部から村へ移住し、14年に地域おこし協力隊員になった。任期は3年。移住定住コンシェルジュを名乗り、移住希望者とのつなぎ役になって空き家に住んでもらったり、住民の交流スペースに改装したりと手を尽くし、13軒を再生に導いた。だが、そうしている間にも人は減った。

 一方、住民同士の結び付きは健在だ。祭りの準備や消防団活動、公民館の運営など、住民たちはそれぞれに役割を持ち、昔からの風習を守り伝えながら、支え合って生きている。「いろいろな役割を兼ねている人も多い。地域を元気にするためであっても、今以上に活動は増やせないと気付いた」

 自身もまた空き家に移り住んだ一人だ。霊峰白山の麓、穏やかに川が流れる、田舎らしい景観にほれ込んだ。「白川村は合掌造りの印象が強すぎて、普通の田舎暮らしができるイメージが伝わりづらい」。世界遺産があることが定住の決め手になったわけではない。だからこそ、「子育て環境の良さなど、村には他にもPRできるポイントがある」との思いは強い。

 カフェは今月、開店2周年を迎えた。手作りのケーキが好評で、店にも観光客の姿が見られるようになった。それでも「店を支えているのはこの地域の人たち。たまに寄るぐらいのペースでいい」と週3日の営業にとどめている。「何とかしなきゃという思いはみんなが持っている。緩やかに、ほそぼそとでも何かを始め、続けていきたい」。カフェを要に、地域を再び盛り上げていく。

 大阪府豊中市出身。大手電気通信会社を退職後、2014年に大野郡白川村の地域おこし協力隊に着任し、空き家対策を担当。16年末に退任後も、移住希望者と村とのマッチングに力を注いでいる。合掌造り家屋の指定管理など村の事業を請け負う一般社団法人「ホワイエ」代表。清流の国ぎふ移住定住コンシェルジュ。37歳。

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