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 フォーカスぎふ 2006年11月28日(火)

高山線、富山市が実証実験 市費で増便、岐阜も関心
 「生活の足見直し」参考に

公共交通としての役割を見直そうと、富山市が増便など活性化の社会実験に取り組むJR高山線。後方は廃線となる神岡鉄道=富山市猪谷、猪谷駅
 富山市を走るJR高山線(猪谷―富山間)で、同市は10月から市費で列車の増便などを図り、利便性を高める高山線活性化社会実験に取り組んでいる。沿線の高齢化が進む中、住民に生活の足として鉄道の役割を見直してもらうのが狙いで、岐阜県内の自治体も関心を寄せている。

 富山市内の高山線沿線は山間地が大半で、車への依存度が高い地域。市は車に乗れない高齢者の増加をにらんで、南北の公共交通の軸として高山線に注目した。「利用者を減らさない」ことを目標に掲げ、先月21日に実験を開始。市費で列車を増便する試みはJR西日本管内では初めて。

 実験では、1日36本だった列車を50本に増便。猪谷―富山間も従来の21本が33本に増え、朝、夕のラッシュ時はおおむね30分間隔、日中も1時間に1本が走る。午後11時前だった富山発の終電も20分繰り下げた。

 さらに、車から電車に乗り継いでもらおうと越中八尾など3駅の付近に計100台分の無料駐車場を確保した。3駅では団地を巡る100円の支線バスや乗合タクシーを駅に接続、同タクシーは300円で路線外でも迎えに行く。高山線の利用をPRする沿線のイベントのパンフは制作費の半額を助成するなど側面支援も整えた。

 実験期間は2007(平成19)年度末までの1年半で、通勤や通学の形態を変えてもらおうと長めに設定した。経費は国交省のまちづくり交付金の助成を受けるが、列車の増便、バスやタクシーの運行経費は本年度だけで約1億8000万円に上る。富山市交通政策課では「感覚的には少しはにぎやかになったようだ」とし、一定の乗客増が見込まれている。

 一方、岐阜県公共交通課は「同じ高山線なので、良い結果が出れば参考にしたい」と富山市の成果を注視している。県内では高山線などの沿線市町と協議会をつくり、特産品を贈る利用促進キャンペーンを続け、富山、愛知県と名古屋市で同線活性化同盟会を組織し、全線復旧に合わせての事業を検討中だ。船坂勝美飛騨市長は「飛越交流が盛んになるのは歓迎。富山側が活性化すればこちらにもいい影響が出る」と関心を示す。

 富山市の鉄道重視は沿線に居住や商業、文化機能を集積するコンパクトなまちづくりの一環。今年4月末には市中心街のJR富山港線の路面電車化を図り、超低床車両の運行や電停の増設、増便やICカード乗車券の導入で利便性を向上。乗客はJR当時の倍以上に増えたという。

 森雅志富山市長は「高齢化が進み、今ある鉄道は有効に活用すべき。鉄道への郷愁が残る今なら乗客は戻る」と強調している。高山線と猪谷で接続する神岡鉄道についても廃線後にレールを残して観光鉄道とする飛騨市の構想を支持する。「軌道は一度はがしたら戻らない。全国には頑張っている地方鉄道も多く、運営は工夫次第。欧州では赤字の公費負担は当たり前と受け止められている。10年、20年先に後悔しない選択を」と助言する。

 【JR高山線】 JR西日本管内は富山市の猪谷駅以北、富山駅までを結ぶ約37キロ。2005(平成17)年4月に7つの市町村が合併して誕生した新富山市のうち、旧富山市、婦中町、八尾町、大沢野町、細入村を走る。猪谷駅以南はJR東海管内。両管内とも乗客は減少傾向にある。04年の台風23号の災害復旧工事で猪谷駅から飛騨市の角川駅間、約27・5キロは現在も不通。07年秋の復旧が見込まれている。