東日本大震災

濃飛貫く 東海北陸道全通へ 第4部「産業」

2008年 4月23日(水)

高速バス

新規参入、増便相次ぐ

写真:高速バス
氷見、高岡市に向けて出発する加越能鉄道の高速バス=岐阜市神田町、岐阜バスセンター

 雪の降る東海北陸自動車道。今年2月、高速バスの新規路線開設に向け、1台のワゴン車が予定コースを試走していた。

 ハンドルを握っていたのは、岐阜乗合自動車(岐阜バス)で交通政策を担当する武藤行儀次長(50)。予定するバス停や休憩所で実際に止まり、各区間の所要時間を計っていった。

 未開通の荘川インターチェンジ(IC)から白川郷ICまでは国道156号を走った。路肩の積雪は1メートルにも達していたが、「生活道路だけにしっかり除雪がしてあって安心した。全線開通後も高速が通行止めになれば、国道を走らざるを得ないですから」。

 岐阜バスは、富山県高岡市の加越能鉄道との共同運行で、5月10日ごろ(加越能鉄道単独は今月10日)から、名古屋―氷見(富山県氷見市)間で高速バス「高岡・氷見線」の運行を始める。東海北陸道全線を利用し、全通までは一部一般道を走行する。

 岐阜、名古屋からは主に観光、富山からはビジネスや買い物での利用を想定し、乗客数は採算ラインの1便当たり15人程度を見込む。

 全通をにらんで参入するのはこの2社だけではない。20日からイルカ交通(富山県小矢部市)が富山県西部―名古屋間で1日4往復を運行。ジェイアール東海バスと西日本ジェイアールバスは、22日から金沢、富山―名古屋間で夜行バスを始めた。

 先行して2004(平成16)年から名古屋・富山線を運行する名鉄バスと富山地方鉄道は、利用者の増加に伴い昨年、2往復から4往復に増便している。

 「各社とも東海北陸道全通への期待感があるんでしょう。これからはJRも含めてお客さんの獲得合戦ですね」と武藤さん。

 バス各社が狙うのは、北陸線経由の特急「しらさぎ」や高山線経由の「ワイドビューひだ」などの鉄道利用者だ。

 「しらさぎ」が名古屋―高岡間を3時間20分で結ぶのに対し、岐阜バスは4時間15分(全通後)かかるが、料金は岐阜バスが片道三1500円(全通前は3000円)で、鉄道の半額以下に設定している。

 バス各社が相次ぎ参入する中、岐阜バスはどう生き残りを図るのか。同社は唯一県内で発着する路線であることや、身近な名鉄の駅サービスセンターで予約、発券ができる優位性を挙げる。今後はコンビニでの発券も検討していくという。

 武藤さんは「高速バスの1番の魅力は安さ、手ごろさ。全通で岐阜と富山の人の交流が盛んになれば、それをわれわれがつないでいきたい」と話す。

 日本海と太平洋を結ぶ新たな動脈となる高速バス。どこまで需要が伸びるかで東海北陸道の意義が問われてくる。

【高岡・氷見線】  岐阜乗合自動車(本社岐阜市、岐阜バス)と加越能鉄道(本社高岡市)が共同運行の形で1日2往復を走らせる。往路は名古屋駅の名鉄バスセンターを出発し、岐阜バスセンター、高速美濃バス停、砺波駅南、高岡駅前などを経て、加越能鉄道氷見営業所に到着する。東海北陸道の全線開通前の所要時間は5時間10分。