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関西への出荷に向けて積み込まれる乳製品=高山市岡本町、飛騨酪農農業協同組合
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午後1時。昼前にびん詰めされた牛乳を載せた1台のトラックが、京都府八幡市の冷蔵施設に向けて出発する。高山市岡本町の飛騨酪農農業協同組合(飛騨牛乳)の工場から関西に向けた1日1回の定期便だ。
岐阜、愛知、三重、富山などに販売拠点を持つ飛騨牛乳は、昨年1月に関西営業所を設け、京都、大阪での販路拡大に打って出た。
「ここ数年、売り上げは厳しく横ばいが精いっぱいだった。牛乳は本来、周辺で販売するものだが、交通網と冷蔵技術の発達で、遠くまで運ぶことができるようになってきた」と西垣内一正営業部長(57)。
関西では大手デパートやスーパーなど約50社と取引を始め、昨年度は年商の1割に迫る2億円近くを売り上げた。「関西は市場が大きいので、一つ契約が決まると量がでかい」と営業部の野武司次長(54)は話す。
飛騨牛乳は、国道41号や東海北陸自動車道などの道路網の整備に伴い、県外に販売の範囲を広げてきた。1979(昭和54)年に進出した愛知県では、“飛騨”の名が持つさわやかなイメージに後押しされ、宅配先を拡大した。
一方で、おひざ元の高山市内のスーパーの店頭には、飛騨牛乳の隣に県外産の牛乳パックが並ぶ。遠くは兵庫県の淡路島産のものも。しかも、価格は県外産の方が軒並み安い。
主力商品の「飛騨ふるさと牛乳」の標準的な価格が218円なので、大手スーパーの安売り商品とでは5、60円の差が開く。30年ほど前は飛騨地域では独占状態だったという飛騨牛乳だが、今ではすっかり価格競争にさらされるようになった。
「うちの体質は大量生産、大量販売ではない。限られた32戸の生産者の牛乳しか使わない、生産者の顔の見える牛乳。それがわれわれの1番のセールスポイントなんです」と西垣内部長。年配者を中心に根強いファンが飛騨牛乳を選んでいくという。
遺伝子組み換えをしていない飼料を使ったり、低温殺菌を取り入れた商品を打ち出したり品質面にも気を配る。一昨年には乳業で初めて特許庁から地域ブランドとして商標登録が認められた。
来年4月には、製造工程を見学できる新工場を高山市新宮町に開設する。衛生面に配慮した最新の施設になる予定で、より安全、安心への配慮を消費者に打ち出していく。
攻めと守りの両面で維持される飛騨牛乳ブランド。東海北陸道の全線開通は「北陸方面への販路拡大の見通しができる」(野次長)と歓迎する一方で、「また逆もある」と北陸の業者から攻め込まれることも視野に入れる。
道路網の整備は商機を広げるが、同時に地域経済に競争原理を持ち込むもろ刃の剣でもある。
【飛騨酪農農業協同組合】
1929(昭和4)年に三福寺牛乳販売購買組合として設立。組合員76人が、約1800頭を飼育し、年間1万2000トンの生乳を生産している。昨年度の年商は約20億円。岐阜、愛知、三重をはじめ長野、静岡、富山、石川、福井などで販売しており、関西でも販路拡大を図っている。
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