東日本大震災

濃飛貫く 東海北陸道全通へ 第5部「未来」

2008年 7月 4日(金)

谷口 尚氏(大野郡白川村村長)

白川村の「夜明け」に

写真:谷口 尚氏(大野郡白川村村長)
「東海北陸道を産業の道にしていってほしい」と話す谷口尚村長=大野郡白川村荻町

 白川村の夜明けになるんだよなあ。

 今までは「遠い村」というイメージが強かったが、全線開通で交通の便は非常によくなってくる。観光客は増えるのではないか。私は年間180万人ぐらいを見込んでいる。

 一方で、競争という荒海にこぎ出ることでもある。今までは観光客が来れば食事をし、泊まってくれたが、これからは料理がおいしくなければほかへ行ってしまう。都会の人ほど観光地慣れしているから、よりよいサービスを提供していかないといけない。

 観光関連業者は6分が不安で、4分が期待ではないかな。全通で通過型の観光が増えるのではないかという心配があるが、そんなに不安を持つことはないと私は言っている。荻町集落の散策は結構いい。民宿に泊まって、げた履きで歩いてもらうなど独自性を出していけば、観光客が逃げていくことはない。

 観光客が増える要因のひとつは外国人観光客だ。昨年の観光客動向をせせらぎ駐車場で調べてみると、外国人が11万9000人。うち台湾からが9万3000人だった。中部国際空港とも1本でつながり、これからますます外国人が増えてくる。

 これからの観光地は、「文化力」がなければならない。特に外国人はそういうものを求めてくる。その点、白川村は農村文化としての文化力が抜きん出ている。

 先人が残してくれた合掌造りの建物、集落の農地、生活の営みが今、文化となってきている。残すものはしっかり残していかないといけない。

 村には今、ホテル建設の計画が持ち上がっている。村内でも賛否両論があるが、条件としては既存の民宿と競合しない高級ホテルでないとだめだと言っている。安いホテルでは、地域ブランドが高まらない。高さ制限も景観も村の意向に従ってもらえれば、それなりに意義がある。

 高校生の通学が可能になるのも大きい。これまで、村の高校生は3分の1が高山、3分の1が富山、残りが岐阜市近郊に進学し、下宿していた。それが、全通でバス通学が可能になるため、今年から高山への進学がグッと増えた。やはり自宅から通えるというのが一番いいのではないか。

 東海北陸自動車道の利用は、観光だけではもったいない。産業の道にしていってほしい。そのためには4車線化が必要。スキー客で渋滞するようでは、産業の道としては厳しい。4車線化の期成同盟会を富山、石川県を含めて立ち上げるよう要望していきたい。

=「濃飛貫く」おわり=

たにぐち・ひさし(65) 日本大学農獣医学部卒業後、1966年に県庁入り。69年、白川村役場に獣医師として採用され、農林課長、建設課長などを務めた。村教育長を経て99年に白川村長に初当選し、現在3期目。