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亜炭廃坑による陥没後、隣接する住宅に現れた亀裂。発生から4カ月経過し、幅が広がってきたという=可児郡御嵩町比衣
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可児郡御嵩町で昨年9月、亜炭廃坑により大規模な陥没が発生して4カ月。この陥没で被害を受けた住宅の復旧をめぐり、住宅に住む男性と、県、町の話し合いが続いている。陥没の復旧工事費用を国と県の「特定鉱害復旧事業等基金」が負担する現行の制度になって、初めて住宅が対象になったからだ。どこまで復旧の対象となるのか、関係者は頭を悩ませている。
廊下をゆっくり転がり出すゴルフボール。壁と床の間の数ミリのすき間。家周辺のコンクリートには数メートルにわたる幅5センチ、深さ1メートルの亀裂。佐々木宏さん(62)が住む木造2階建ての住宅は、あちこちがゆがんでいる。
陥没は同町比衣の畑で昨年9月19日発生した。佐々木さん方北隣りの東西約40メートル、南北約30メートルがすり鉢状に約1メートル沈下。その後の調査で、地中に押しつぶされた亜炭廃坑が見つかった。
住宅の復旧工事は、陥没が特定鉱害と認められたことで、同基金が全額負担する。だが、どこまで復旧するのかが争点となり、工事は未着工だ。
佐々木さんは住宅の復旧と、亜炭廃坑の充てんなど地盤対策を求めている。また陥没するかもしれないという不安があるからだ。だが、県は充てんはできないとする。亜炭廃坑の充てんや地盤対策は復旧ではなく、予防措置になるとの見解だからだ。
同基金は臨時石炭鉱害復旧法が廃止された後の2002(平成14)年度に創設された。それまで国が行っていた復旧工事を引き継ぐ形で、県産業経済振興センターが管理運営。御嵩町と可児市、瑞浪市、中津川市で亜炭廃坑の陥没があった場合、復旧工事の費用を支出する。
あくまで同基金の目的は復旧で、制度上、予防措置になる充てんはできない。全国で12県が同様の基金を設けているが、いずれも予防措置はしていないという。
また、原資が5億円弱と限られているのもネック。陥没は畑や水田で発生する「つぼ抜け」という小規模なものが多く、2、30万円ほどで埋め戻すことができた。だが、今回の陥没で実際に住宅復旧工事を行う同町は、最大で3000万円の費用を見込む。基金の穴埋めは利息や運用益しかない。
今月中旬には美濃加茂市古井町の県中濃振興局で、佐々木さんと県産業政策課、同センターの担当者が直接話し合った。地盤対策を求める佐々木さんと県の方針は平行線で、結論は出なかった。
佐々木さんは「地震が起きて、家がつぶれたらどうなるのか不安。制度で充てんができないなら、制度を変えるよう国に求めてほしい」と訴える。同課の担当者は「陥没の復旧工事など、対処療法しかできないのが現状」と慎重な姿勢だ。
御嵩町の渡辺公夫町長は「陥没して住宅に被害が出るケースは今後も予想でき、被害者の訴えは理解できる。住民の関心も高い。亜炭は国策として掘ったもの。制度は理解できるが、柔軟に応じてほしい」と話している。
【メモ】 御嵩町の亜炭廃坑 御嵩町では戦中、戦後に亜炭が掘られたが1968(昭和43)年に閉山。残された亜炭廃坑は市街地を中心に網目に広がっており、全容は分かっていない。町内すべての亜炭廃坑を充てんするには500億円以上が必要という試算もある。9月の陥没事故をきっかけに、同町議会は昨年12月定例会で、亜炭鉱害対策特別委員会を新設した。
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