フォーカスぎふ

2010年 4月20日(火)

高校無償化、お堅い選別

県内ブラジル人学校、対象1校のみ

「各種学校」以外の3校嘆く
写真:高校無償化、お堅い選別
パソコンの授業を受ける高等科の日系ブラジル人生徒ら=美濃加茂市牧野、イザキニュートンカレッジ

 高校授業料の無償化が本年度から始まったが、高等科を設けている県内のブラジル人学校4校のうち、この恩恵を受けられるのは1校にとどまる見通しだ。外国人学校は「各種学校」かそうでないかで線引きされたためで、今回対象外になった学校からは「実際の教育を見て判断してほしい」との声が挙がっている。

 県内では4校のブラジル人学校が高校に当たる高等科を設置。そのうち、助成対象になるのは「各種学校」のHIRO学園(大垣市上面)だけになる見通し。

 同学園の高等科には65人が在籍。遠方から通学する生徒も少なくなく、ナタリア・アキナ・ウエスギさん(15)は福井県に住んでいる。毎朝午前4時前に起き、電車とバスを乗り継ぐ毎日。ウエスギさんは「通学費も高いし、1万円近く授業料が安くなることはいいこと」と歓迎する。

 授業料は月3万4千円。保護者から授業料が安くなることについて問い合わせも多く寄せられたという。川瀬充弘理事長は「日系ブラジル人生徒の勉強するチャンスが増える」と喜ぶ。

 一方でイザキニュートンカレッジ(美濃加茂市牧野)は対象から外れた。同校は現在、各種学校に向けて準備を進めているが、この春には間に合わなかった。

 高等科の生徒は25人。事務局長の堀籠通信さんは「各種学校で線引きされたが、教育内容ではほかの学校に負けていない。書類だけでなく実際の教育を見て判断してほしかった」と残念がる。

 生徒らはブラジル本国のカリキュラムに準じた授業に加え、日本語やパソコンの授業も受けている。堀籠さんは「児童生徒には日本人の血が入っている。ブラジルは日本の友好国でもあるのに」と話す。

 同校は順調に行けば本年度中に各種学校へ移行する見通し。だが、各種学校になれないブラジル人学校では高等科を廃止したり、助成対象になる学校へ生徒が流出するなどの影響も懸念される。

 ブラジル人学校といっても私塾扱いの学校から、ブラジル政府の認可校、日本が学校として認めた「各種学校」など実はいろいろな種類がある。

 県国際課の担当者は「授業内容や教科書などが日本の教育と同等か、判断しようがない部分もある」とした上で、「各種学校で線引きという国の方針にも一定の理由がある」と受け止める。

 だが、文科省は各種学校でないブラジル人学校の修了生にも日本の大学への入学資格を認めている。県内のブラジル人社会に詳しい愛知淑徳大学の小島祥美講師は「高校無償化の対象を各種学校のみとした判断は、この方針に矛盾している」と指摘。「多様な子どもたちの進路、進学を応援する体制を構築してほしい」と訴える。

(馬田泰州)

【高校授業料無償化】

 県教委によると、県内の対象者数は公立私立合わせて約5万7千人が見込まれている。県立高校(全日制)は月額9900円、年額約12万円の授業料が無償になり、私立高校では年額約12万〜24万円を助成。各種学校も私立高校に準じる。対象になる外国人学校は文科省が今月中に省令で定める見通し。県内には高校に相当する朝鮮学校はないが、無償化の対象にするかどうか国で協議が続いている。