写真:日系の若者に働く夢を

「Mixed・Roots×ユース×ネットこんぺいとう」の設立総会=5月5日、名古屋市中村区

国際的人材、企業に紹介

 ブラジルやペルーなど海外にルーツのある子どもたちが活躍できる社会にするため、県内の関係者が動き出した。日系人の学生を企業でインターンシップさせたり、日系人の先人のインタビューを計画。日本語が不十分で学校を中退するなどややもすると人生を諦めてしまいがちな日系人の若者に、頑張れば活躍の場があることを示そうとしている。

 医師や教師、通訳、工場勤務やモデル。将来、こうした職業に就きたいと漠然と考えている日系ブラジル人の子どもは多いという。中にはサッカークラブに入ってもいないのに「夢はサッカー選手」と答える子もいる。日本社会との接点が少なく、身近だったりテレビで見る仕事しか知らないため、こういった傾向が現れるという。

 多くの職業を知らないと自分の将来も描きにくい。高校や大学への進学率も低く、親と同じように人材派遣会社から工場勤務という若者も多い。

 日本の大学に進学する若者も少ないながら増えてきてはいる。だが日系人の現状に詳しい愛知淑徳大学の小島祥美准教授は「入管難民法が改正され、日系人が増え始めた1990年から状況は変わらない」と嘆く。

 現状を変えようと小島さんや県内の日系人らは今月、団体「Mixed・Roots×ユース×ネットこんぺいとう」を立ち上げた。メンバーはブラジルやペルー出身の7人で、事務所を美濃加茂市に置いた。今夏のNPO法人化を目指している。

 主要事業の一つとして計画するインターンシップ。企業の海外進出が進むが、それを担う人材は限られている。一方、日系人の若者には日本の文化を知りつつ、高い国際感覚も期待できる。インターンシップを通して学生には企業や職業を知る機会が増え、企業側にも優秀な人材を獲得できるメリットがあるとする。

 また、岐阜県からブラジルに移民が始まって来年で100年であることから、岐阜県に由来があり海外で活躍した100人を取材することを計画する。一般的に日系人の若者は自己肯定感が低いとされる。小島さんは「先人のことを知れば、なぜ自分たちがここにいるのかが分かる。自信や希望が持てるはず」と期待する。

 こんぺいとうはもともとポルトガルのお菓子だった。戦国時代にポルトガル人宣教師のルイス・フロイスが織田信長に献上して、日本に伝わったとされる。海外にルーツがあり、やがて日本文化になったこんぺいとうのように、日系人の若者が日本社会に溶け込めるよう願いを込めて団体名に入れた。

 代表を務める渡辺マルセロさん(33)=岐阜市=は「海外にルーツのある子どもたちが夢を持てるようにしたい。国際社会で活躍することも夢ではないはず」と話す。

(馬田泰州)