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村雲 司さん

「阿武隈共和国独立宣言」を出版

全力注いだ小説、充実感

村雲 司さん
「どこかで本気にならないと日本は良くならない」と語る村雲司さん=横浜市の自宅

 今夏、小説「阿武隈共和国独立宣言」(現代書館)を出版した。福島第1原発事故の影響で「帰還困難区域」となった阿武隈村(架空の村)が独立を宣言する物語。文芸評論家の斎藤美奈子さんから「大変刺激的かつ挑発的」と評された。

 村民はいったんは避難したが、残り少ない人生を古里で暮らしたいと願う高齢者らが戻った。長老は「故郷の山河を棄(す)てろと国が強要するなら、俺たちは国を棄ててもいい」と決意を語る―。山あいの村、加茂郡東白川の出身で「もし同じ状況になったら…」と重ね合わせた。

 語り手の「私」は自身がモデル。大学卒業後、テレビコマーシャルの制作、企画を手掛けた。「全力を出してこなかった」という思いが退職後のさまざまな活動に結び付く。物語の重要な舞台となる新宿駅での「スタンディング」は10年目に入った。毎週土曜の夕方、主張を込めたプラカードを掲げて立つ。

 小説の原型は、15年ほど前から発行している、俳句と思いをつづった「梅が丘通信」に載せた文章。知人らの紙誌に転載され、それを読んだ編集者から執筆を勧められた。「これは遺言なんですよ」。全力を注いだ充実感を漂わせた。

 横浜市在住、67歳。

(岐阜新聞 2012年11月28日掲載)