原発での事故発生時に原子力事業者に義務付けている関係県への通報について政府は27日までに、対象を岐阜など原発から30キロ圏の5県も加える方針を固めた。原発への立ち入り検査の権限も与える。関係県の要件を定めた原子力災害対策特別措置法(原災法)の改正を含む一括法(原子力組織制度改革法)を月末にも閣議決定、本通常国会に提出する。4月施行予定。
現行の原災法は事業者に対して、原発の立地県と、立地市町村と隣接する関係県への基準を超す放射線量の通報、応急措置の報告、また防災業務計画の協議などを義務付けている。立地県や関係県は立ち入り検査や事業者から防災対策などの報告を求める権限も持つが、岐阜県は立地市町村と隣り合っていないため制度の対象外だった。
今回は、4月に予定される原子力防災指針の見直しで、原発事故に備えて防災対策を重点的に実施する地域を原発の半径8〜10キロから約30キロに拡大するのに合わせて関係県の要件を改める。内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室によると、従来は立地が16道府県、関係が3府県だったが、法改正で岐阜、富山、滋賀、山口、福岡県が加わる。
岐阜県境から30キロの範囲には、最も近い25キロにある敦賀原発をはじめ美浜原発、もんじゅ、ふげんの4原子力施設(いずれも福井県)が立地。県は福島第1原発の事故後、日本原電や関西電力などの事業者に申し入れ、異常時の通報のみならず平常時も情報交換できる体制を整えたが、事業者の了承に基づく任意の仕組みだった。法改正で確実に情報が入ることが担保される。
古田肇知事は昨年6月、経済産業相に対し行政区画に基づく関係県の要件を、福島の事故を踏まえて原発から30キロ圏の自治体とするなど距離の概念で見直すよう要望していた。県防災課は「要望に沿った方向の改正。今後示される改正法令の詳細な内容を確認したい」と話している。
このほか改正原災法は同指針を法定化。原発から半径約30キロ圏の自治体は現在の8〜10キロの自治体と同様、事故時の被災者の生活支援や除染などの対処策を盛り込んだ地域防災計画の原子力災害対策編の策定が義務付けられる。期限は9月末とされ、岐阜県にも策定の検討や立地する福井県との協議が求められそうだ。
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