生活困窮家庭の子支援 岐阜市に「無料塾」、ネット設立
2014年12月22日09:18
写真:生活困窮家庭の子支援 岐阜市に「無料塾」、ネット設立
設立会合で学習支援の取り組みを聞く6団体の関係者=21日午前10時13分、岐阜市八代、仕事工房ポポロ

◆6団体、学習指導や居場所提供

 生活困窮や家庭の事情で十分な学力が身についていない小中学生を対象に学習支援をする「無料塾」が岐阜市内で増えている。勉強を教えるだけでなく、子どもが安心できる「居場所」の提供という位置付けも。来春の生活困窮者自立支援法施行を前に、関係6団体が21日、連携して子どもをサポートする「岐阜学習支援ネットワーク」を設立した。

 「中3でbe動詞の意味が分からない子、分数の割り算ができない子もいる。発達が凸凹の子が多く、通常の塾では費用がかかる個別指導でないと教えるのは難しい」。ネットワークの呼び掛け人で無料の学習支援に取り組むNPO法人「仕事工房ポポロ」(同市八代)の佐藤真紀理事(30)は話す。

 ポポロに集まるのは、生活保護に至る手前の生活困窮家庭や、不登校など学習に課題を抱えた子どもたち。ひきこもりの若者らをサポートする従来の活動の中で、「もっと早い段階で手を打てないか」と2010年から学習支援を始めた。

 小5から中3まで21人が登録しており、週3回、午後5時から9時まで、大学生が指導に当たる。1年間続けると5科目合計で平均50〜60点は上がるといい、これまでに通った約60人は全員高校進学を果たした。

 佐藤理事は「学力に課題がある子は、親の離婚や借金、発達障害など何らかの事情を抱えている。学習支援を入り口に、世帯まるごとのサポートが必要になる」と訴える。

 岐阜市神田町の円徳寺で毎週土曜日に開かれる「てらこや無償塾」は、東日本大震災の被災者の子どもを対象に12年にスタート。一人親家庭や外国籍、障害を持つ子も受け入れるようになり、70人近い大所帯になった。

 今年の夏休みには、生活保護世帯を含む中3生18人を集め、無料の夏期講習を初めて開いた。運営団体の若岡ます美代表(51)は、「塾は費用がかかると気兼ねする子もいる。貧困の連鎖を痛感している」と話す。

 岐阜市の高校進学率98.5%(昨年度)に対し、同市の生活保護世帯の生徒は90.0%にとどまる。同市は来年4月の生活困窮者自立支援法施行に合わせ、新年度に学習支援策を検討している。

 市内で開かれた21日の会合では、6団体でネットワークを設立し、一般社団法人化を目指すことを確認。高校受験に向けた合同面接練習を来月実施するほか、講師の融通や情報交換を行っていく。

 代表に就いた南出吉祥岐阜大地域科学部准教授(教育学)は「子育て世帯の困窮を背景に全国で無料塾などの活動が一気に増えた。家族の機能を補う『居場所』を含めた学習支援を目指したい」と話している。