水から水素、容易に分離 岐阜薬科大教授ら開発 − 岐阜新聞 Web
水から水素、容易に分離 岐阜薬科大教授ら開発
2016年12月22日08:47
写真:水から水素、容易に分離 岐阜薬科大教授ら開発
ステンレス製ボール入りの密閉容器(手前)と遊星型ボールミル。微量の水を入れて回転させると水素ガスが発生する=岐阜市大学西、岐阜薬科大

 岐阜薬科大(岐阜市)薬品化学研究室の佐治木弘尚教授(57)の研究グループは、複数のステンレス製のボールと微量の水を密閉容器に入れて数十分間回転させ、化学反応を起こして水素を取り出す方法を開発した。次世代エネルギーとして注目される燃料電池の燃料となる水素を、水からシンプルな方法で製造できるとして、複数の企業と協力して実用化を目指している。

 佐治木教授によると、回転によってボール同士が激しくぶつかった際、ステンレスに含まれるクロムの電子が水へ移動。不安定になった水が水素を切り離し、水素ガスが発生する。残った酸素はステンレスに含まれる鉄を酸化させて磁鉄鉱となり、化学反応が完結するという。

 研究グループは、実験で80ミリリットルの密閉容器に直径5ミリのステンレス製ボール100個と270マイクロリットルの水を入れて回転させ、400〜500ミリリットルの水素ガスを発生させた。回転には、容器と土台が逆方向に回る装置「遊星型ボールミル」を使用。1分間に800回転させれば約45分間、1100回転の場合は15分間ほどで、水から水素が分離した。

 現在、工業や医療などで使われている水素は、天然ガスなどの石油資源から取り出しており、製造過程では二酸化炭素も排出しているが、同グループの製法は環境負荷を低減し、コストの大幅削減にもつながるという。

 実験は2010年にスタート。キヤノン財団(東京都)による2年間の研究助成も受けながら進めてきた。水の代わりに「重水」にすることで、発電への利用が期待される核融合に使われる「重水素」が取り出せることも確認した。

 将来的には風車や水車の回転を利用した水素ステーション、水素を生み出しながら走る燃料電池車への利用も期待できるといい、佐治木教授は「反応効率の向上や製造装置の開発など実用化を目指す。助成金も活用し、早ければ10年のスパンで実用化を考えたい」と話している。