川端康成が見た文学史 邸宅から夏目漱石の書など発見 − 岐阜新聞 Web
川端康成が見た文学史 邸宅から夏目漱石の書など発見
2017年01月25日09:40
写真:川端康成が見た文学史 邸宅から夏目漱石の書など発見
川端康成邸から見つかった夏目漱石の書「五言絶句」(川端康成記念会提供)

 ノーベル賞作家の川端康成(1899〜1972年)の神奈川県鎌倉市の邸宅から、川端が収集していた作家の夏目漱石や芥川龍之介、林芙美子、岡本かの子らの書や書簡、絵画など76点が見つかった。川端康成記念会が24日発表し、「川端は書からその人の人格、人間を見ていた。今回の発見は、川端の目を通した近代文学の歴史。今後の川端研究にどのように生かせるかを考えたい」としている。

 川端は美術愛好家としても知られ、古美術から戦後の現代アートまで幅広いジャンルの美術品を収集していた。今回明らかになったものは昨年12月、邸宅内の川端康成記念館で保管するために行った調査で確認された。76点のうち書が52点を占めた。

 同記念会の水原園博理事によると、二重になった桐箱から漱石の書「五言絶句」(1914年)を見つけた。漱石は、少年時代の川端が作家を志して熟読した作家の一人。川端が作家として高く評価していた徳田秋声の書2点も発見した。

 戦時中に岐阜県美濃加茂市に疎開していた岡本かの子、林芙美子など交流のあった同年代の作家の書や書簡も多数見つかった。林は川端が親身になって面倒を見た作家の一人で、亡くなる数年前に川端に自宅に呼ばれた際、「硯冷えて 銭もなき 冬の日暮かな」と貧窮時代の自身を書にしたためた。川端が積極的に新人を発掘し、若々しい芽を育て上げたことを示している。

 調査には、川端康成学会会員の研究者、金森範子さん(岐阜市野一色)も協力し、発見された書幅と川端全集とを照合した。

 川端は、岐阜を舞台に初恋の女性との婚約から破談までの体験を基にした小説「篝火(かがりび)」を書いた。同記念会は、新たに見つかった資料を含めた展覧会を準備しており、ゆかりのある岐阜での巡回展も検討している。