空き家再生隊、地域と移住希望者を橋渡し − 岐阜新聞 Web
空き家再生隊、地域と移住希望者を橋渡し
2017年07月02日08:28
写真:空き家再生隊、地域と移住希望者を橋渡し
活動拠点の古民家前で、空き家再生隊の看板を掲げる柴田恵樹さん=中津川市坂下

 岐阜県中津川市で、古里にUターンした若者らがまちの活力を取り戻そうと空き家を再生し、都市部の移住希望者と空き家のある地域をつないでいる。同市坂下の古民家を拠点に活動する空き家再生隊「ボロンコビリー」だ。物件の仲介にとどまらず、交流会を開くなどして移住者が地域で暮らしやすく、地域も移住者を受け入れやすい環境づくりにも力を入れている。

 隊長の柴田恵樹さん(33)は同市出身。中津高校から県外の大学に進み、名古屋や大阪で働いたり、海外を放浪したりして昨年末、結婚を機に帰郷。不動産業に携わっていた同級生ら4人と再生隊を結成し、東濃地域周辺の空き家を発掘して都市部の移住希望者に向けてインターネットで情報発信している。

 市によると、市内では2015年度末で約1千軒の空き家が確認されている。市は空き家を利活用することで都市部からの移住や若者の定住を促進させたい考えだが、市の空き家バンクへの登録数は現在6軒。バンクを開設した12年度からの5年間の実績は14軒にとどまり、賃貸や売買物件として市場に出る空き家は少ない。

 背景には、先祖代々受け継いできた家を縁もゆかりもない移住者に明け渡すことへの家主の不安、見知らぬ移住者を受け入れることへの地域の不安があるとされ、都市部の空き家や分譲の新築物件とは異なる、古くから地域に溶け込んできた地方の空き家特有の事情が垣間見える。「だからといって黙って見ているわけにはいかない。空き家は住まないと廃れる。どんどん空き家が増え、まちが寂れる」。柴田さんはそう指摘する。

 再生隊では空き家を放置させないよう、不動産店が扱わないような老朽化した空き家、家主の荷物が残されたままの空き家も仲介し家主のハードルを下げている。「ボロボロの物件でも全国を見渡せば、自分で手直ししたくてワクワクしている人は多い。住むことで家は生き返る」

 移住者と地域の橋渡しには「えなかつ職人マルシェ」と呼ぶ交流会を毎月開き、音楽ステージやマッサージ、軽食・雑貨販売で楽しんでもらいながら空き家の相談を受け付ける。今月は14日に同市坂下の坂下公民館西隣にある再生隊活動拠点の古民家で開く。

 柴田さんは「移住者を受け入れなければ、まちが持続しないと分かっていても、きっかけがなかった。気軽に集まれる場をつくることで交流が深まり、次は経験を積んだ移住者が新しい移住者を受け入れてくれる。こうした取り組みの継続が、空き家の解消とまちの活力につながっていくと思う」と話す。