「白い物」が車のむ 中央道土砂崩れ − 岐阜新聞 Web
「白い物」が車のむ 中央道土砂崩れ
2017年08月20日09:03
写真:「白い物」が車のむ 中央道土砂崩れ
重機による土砂の撤去作業が進む中央自動車道=19日午前、瑞浪市釜戸町(中日本高速道路提供)

 岐阜県瑞浪市釜戸町の中央自動車道で車4台が巻き込まれた土砂崩れで、中日本高速道路は19日、流れ込んだ土砂約700立方メートルの撤去作業を完了した。

 県警や中日本高速道路などによると、土砂崩れは18日午後9時30分ごろ、上り線の北側斜面で発生。最大で高さ約1・5メートル、幅約60メートルにわたって土砂がたまり、下り線まで流れ込んだ。

◆「土の色じゃない」 大阪の男性、妻重傷に

 「あれは普通の土の色じゃない。“白い物”が何なのか明らかにしてほしい」。土砂崩れの直撃を受け、ほとんど意識のない容体が続く妻(42)の回復を祈るように待つ会社員の夫(43)=大阪府=は言葉に力を込めた。

 事故直前、約100メートル先に見えたのは白い煙だった。「山火事かと思った」。よけることもブレーキを踏む間もなく“白い物”にのみ込まれた。正面衝突したような激しい衝撃とともに車は横倒しに。「土の臭いで土砂崩れに気付いた」。さらに土砂が勢いよく押し寄せ、中央分離帯を乗り越えた。必死に車外に出て長男(12)と次男(8)を引っ張り出したが、妻の様子がおかしい。無事を願って救助が来るのを待ったが、妻の意識は徐々に薄れていった。

 「他の車が土砂の上に乗ったような状態だった。自分の車は何に衝突したのか」−。道路一面に広がる白い世界を見渡し、すぐに事故原因に疑問が出てきた。「土というよりヘドロのような感じ。絶対におかしい」

 18日夕、旅行先の新潟県に向け、自宅を出発。時折、激しい雨が降る中、初めて運転する中央自動車道を慎重に走り、19日未明の到着予定を前に大事故に巻き込まれた。「(妻が)なんとか助かってほしい。土砂崩れの原因を究明してほしい」と願った。

◆崩落現場に複数の袋 山中に廃棄か

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崩落した斜面。所々に土のうのような袋が見える=19日午前、瑞浪市内(中日本高速道路提供)

 瑞浪市釜戸町の中央自動車道で車4台が巻き込まれた土砂崩れで、崩落現場では19日、複数の土のうのような袋が確認された。県警は、山中に廃棄されたものが土砂とともに流出した可能性があるとみて調べている。

 上り線の上には、北側斜面から流れ出た粘土質の白い土が広がった。中日本高速道路が上空から撮影した写真などには、崩落した斜面の所々に樹脂製のような大型の袋が確認された。

 現場近くには陶器の原料を製造する会社があることから、県警は廃棄物処理法違反などの疑いも視野に、崩落現場の状況と事故の関連などを慎重に調べている。

◆畑や道にも白い泥 窯業原料、民家に流入

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住宅地に流れ込んだ泥を除去する作業に追われる住民ら=19日午前11時45分、瑞浪市釜戸町

 18日から19日未明にかけての大雨の影響で、瑞浪市釜戸町の御湯川沿いの市街地では、窯業原料の混じった川の水が道路や畑などにあふれ、白い泥が一面を覆った。上流には陶料会社の工場があり、地元住民は朝から泥出しなどの対応に追われた。

 県災害情報集約センターなどによると、近くにある「丸釜釜戸陶料」の窯業原料が入った袋が御湯川に落ち、濁流となってあふれ出たことが原因とみられる。市街地はJR釜戸駅付近にあり、道路には多いところで30センチほどの泥が堆積。一部の家では床上にも流入した。

 18日午後9時半ごろに帰宅した会社員佐々木国弘さん(48)は、既に自宅前の道路が泥で埋まって自宅に入れず、近くのコミュニティセンターで一夜を明かした。19日早朝に戻ると、台所のガラス戸を突き破って泥が流れ込み、多いところで膝ぐらいまで堆積。「こんなことは初めてでどうしていいか分からない。復旧には時間がかかると思う」と肩を落とした。

 釜戸地区の区長会役員の足立務さん(67)も「砂ぼこりを防ぐために散水車が早く来てほしい」と話した。家庭菜園でサツマイモやナスなどを栽培する会社員中野徹さん(69)は「もう収穫は無理」とあきらめ顔だった。