元国体選手自殺 遺族が県厚生連提訴 − 岐阜新聞 Web
元国体選手自殺 遺族が県厚生連提訴
2017年09月22日07:57

◆「長時間労働が原因」

 2014年1月に東濃厚生病院(岐阜県瑞浪市)に勤務していたライフル射撃競技の元県国体強化選手の鈴田潤さん=当時(26)=が自殺したのは、長時間労働が原因で同病院が安全配慮義務を怠ったからとして、鈴田さんの両親が21日、県厚生農業協同組合連合会(厚生連)に9095万円の損害賠償を求めて岐阜地裁に提訴した。

 訴状によると、鈴田さんは10年に厚生連に就職し、12年のぎふ清流国体で活躍した。13年4月に同病院管理課に異動後、備品購入などの業務を担当、上司らの業務の支援がなく長時間労働が続いていた。うつ病を発症して自殺する直前3カ月の時間外労働は月100時間を超え、パソコンに「この先これ以上は耐えられそうにない」「生きたくない…」などと遺書を残し、同年12月に失踪。翌14年1月に車の中で自殺した。

 多治見労働基準監督署は今月4日、自殺したのは長時間労働によるうつ病が原因として労災認定していた。時間外労働は最大で月118時間だった。

 同地裁に提訴後、岐阜市内で記者会見した訴訟代理人の松丸正弁護士は「恒常的な労働時間管理に問題があった」と指摘し、「何が鈴田さんを追い込んだのか真実を明らかにしたい」と話した。鈴田さんの両親は「責任の所在を明確にしてそれ相応の責任を取ってほしいと思う」とコメントを出した。

 厚生連は「訴状が確認できていないのでコメントは差し控える」としている。

◆県外出身選手ケアに力 県、再発防止

 2012年のぎふ清流国体のライフル射撃競技の強化選手として10年に県教委の仲介で県内に就職先を得た長崎県出身の鈴田潤さん=当時(26)=が過労自殺したことについて、訴訟代理人の松丸正弁護士は「県教育委員会が強化選手として招いているので、選手としての競技環境を整える配慮が必要だった」と指摘した。

 県は、鈴田さんの自殺が発覚後、再発防止のため、14年から、鈴田さんと同じ県外出身の成年選手を中心に面談を始めた。ぎふ清流国体から強化選手として競技を続ける選手の勤務状況や練習状況などを把握するためだ。86人全員が応じたが、仕事や競技などの悩みの相談はなかったという。県はその後も、競技団体と情報共有を深め、選手とも定期的に面談し継続的にフォローアップをしている。

 16年度からは、県内へ拠点を移した強化選手の面談も新たに加えた。国体から5年が経過し、県は、選手の引退後のキャリア支援などを課題に挙げ「選手に寄り添い、競技力向上を図っていきたい」としている。