日本刀あずきバー誕生秘話 背景には奇跡のコラボ − 岐阜新聞 Web
日本刀あずきバー誕生秘話 背景には奇跡のコラボ
2017年10月06日09:08
写真:日本刀あずきバー誕生秘話 背景には奇跡のコラボ
あずきバー日本刀を構える尾関健治市長=関市役所

 それは尾関健治関市長の一言から始まった。「刃物まつりのPRのため、何か面白いものをつくりたい」

 7、8日に開催される恒例の刃物まつりの期間中に、関鍛冶伝承館(同市南春日町)で展示される刀身65センチの日本刀サイズのあずきバーが完成したことを、9月28日付本紙朝刊が紹介したところ、インターネット上で注目を集め、80万件近いアクセスがあった。この奇想天外な日本刀アイス「あずきバー」は、どのように生まれたのか。背景を探った。

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 取材を進めると、誕生には2本の伏線があることが分かった。

 一つは関市とあずきバーを生産している井村屋(津市)との縁だ。2015年、ツイッターにあずきバーと日本刀の硬さを引っかける内容の個人投稿があったことがきっかけで交流が続いている。

 もう一つは、関商工高校(関市桐ケ丘)の生徒が昨年提案した日本刀型アイス。生徒のアイデアを元に、関市内の和菓子業者などでつくる「日本刀アイスを作る会」が製品化に成功した。この時の「刀身」は25センチ。今年6月に開かれたイベントで好評だった。

 尾関市長はこの二つの流れを結びつけたというが、実はふるさと納税の謝礼品にと考えていた。「仮に応募がなくても話題になったはず」と明かす。結局謝礼品にはならなかったが、展示用にと井村屋に依頼した。

 「そんな大きなあずきバーをつくることは果たして可能なのか」。井村屋の社内では議論になった。「いくら硬いあずきバーとはいえ、そんな大きさで作ったことはなかった」(経営戦略課の木本一夢さん)。

 挑戦的な依頼を引き受けると、ここで思わぬ援護があった。日本刀アイスに成功した「作る会」の金型業者が専用の金型を作ってくれた。刃物など金属加工業の盛んな関市ならではの協力だ。

 巨大なアイス作りには予想外の苦労もあった。完全に凍り付く前に刀の一部分に小豆が沈殿してしまう。試作を重ね最初に小豆抜きの原液を型に入れるなどして解決した。完成品を見て開発陣も「こんな、ど迫力のあずきバーができるなんて」と感動していたという。

 記者が試作品を食べてみたところ、「あずきバー」そのもので美味だった。ただ、あくまで今回は展示用であり、食用の販売は考えられていないという。

 「話題が先行したが、本来の目的は刃物産業の振興」と、尾関市長は真剣な表情で語る。刃物まつりでは、あずきバーに加え、関市の若手刀匠らの手によって復元され、先日一般公開が始まった旧国宝の名刀「蛍丸(ほたるまる)」、そして第3弾の目玉展示もあるという。「大勢の来場客があるに違いない」と関係者の間で期待が高まっている。