東海環状道西回り 工場用地確保で苦心 − 岐阜新聞 Web
東海環状道西回り 工場用地確保で苦心
2017年12月03日09:47
写真:東海環状道西回り 工場用地確保で苦心
杭瀬川をまたぎ大野神戸インターチェンジ(手前方向)に向けて工事が進む東海環状自動車道西回り=11月29日、大垣市内

 景気回復を背景に、東濃地域の東海環状自動車道沿線に、県外大手企業の工場の新設や増設の動きが相次いでいる。各社の総投資額は数十億円から200億円と大規模。これから開通する西回りの沿線自治体では、東濃地域のように工場進出による雇用や税収の増加へ期待が高まる一方、農地転用の難しさもあり、工場用地の確保に苦心する声も漏れる。

 東回りでは、板金加工機械最大手のアマダホールディングス(HD)が、土岐市の事業所に24時間完全自動の金型工場棟を新設。9月に稼働した。瑞浪市では、自動車用変速機(AT)世界トップのアイシン・エィ・ダブリュが9月にソニーの元工場を取得。2018年12月に稼働する。セラミックス大手メーカーの日本ガイシは、半導体製造装置用セラミックスの工場を多治見市に新設し、20年4月の生産を予定する。

 東海環状道によるアクセスの良さに加え、津波被害のない内陸部でリスク分散を期待しての投資だ。岐阜国道事務所によると、東回りの工事に着工した2000年から15年までに約150社が進出、約3万6千人の雇用が生まれており、15年以降も増加傾向にある。アマダの岡本満夫会長兼最高経営責任者(CEO)は「日本の中心にあり、供給の面から考えても重要なエリア」と、投資に踏み切った理由を説明する。

 東回り開通の効果を受け、県は西回り開通後の関西や名古屋市からの進出を期待する。全体の開通時期は未定だが、県内では関広見インターチェンジ(IC)―高富IC(仮称)と、大野神戸IC(仮称)―大垣西ICが19年に開通予定だ。

 西回りの開通を見据え、県は20年までに300ヘクタールの工場用地の確保を目指す。既に整備に取り掛かれそうな工場用地が3分の1程度あり、その用地の3割程度が西回りにあるという。さらに西回りの18市町の企業誘致担当者による勉強会を4月から月1回開催。誘致できそうな企業の情報交換を進めている。

 一方で大規模な工場用地の確保に苦心する声も聞かれる。大垣市の担当者は「工場用地の確保を検討しているが、農業振興地域だったりして転用が難しい」と話す。同市は、現段階で西回り開通をにらんだ工場用地の目標数値を立てられていない。海津市では、19年度に広さ12.6ヘクタールの駒野工業団地を造成する計画だが、同市には農地が多く、規制が掛かっている土地が多いこともあり、その後の開発計画は未定という。

 岐阜経済大経営学部の竹内治彦教授は「西回りの開通効果を発揮するには農地転用をいかに進めるかに尽きるが、現実問題として養老−岐阜間は大規模な工場用地となると確保は難しい」と指摘。「広さが必要な量産拠点ではなく、研究開発拠点や技術力の高い製品の工場の誘致を検討する方法もある」と提案する。