絶滅危惧種の「ウシモツゴ」 県内ゴルフ場で繁殖か − 岐阜新聞 Web
絶滅危惧種の「ウシモツゴ」 県内ゴルフ場で繁殖か
2017年12月30日08:44
写真:絶滅危惧種の「ウシモツゴ」 県内ゴルフ場で繁殖か
美濃地方の池で生息が確認されたウシモツゴ(向井貴彦准教授提供)

 東海地方の10カ所程度しか野生での生息が確認されていない絶滅危惧種の淡水魚「ウシモツゴ」が、新たに岐阜県内の池で見つかった。近くのゴルフ場内の別の池から流れ込んだとみられ、外来魚の放流がない閉鎖環境が種を守った可能性が指摘されている。

 今年7月、古屋康則岐阜大教育学部教授(生理生態学)が美濃地方の用水路で偶然1匹を発見。向井貴彦同大地域科学部准教授(保全生態学)が11月、県の許可を得て周辺の池に網を仕掛けたところ、6匹が掛かった。

 DNA型の分析で、未確認の生息地と判明。水の流れをたどると上流にゴルフ場の池があり、同所で繁殖していたものの一部が、流れ出した可能性があるとみられる。

 ウシモツゴはかつて濃尾平野に広く分布していたが、戦後のほ場整備や水路の改良で生息地が激減。体長が8センチ前後と小型なため、ルアー釣り目的でため池に放されたオオクチバス(ブラックバス)やブルーギルに食べられ、姿を消した。

 環境省のレッドリストは、野生での絶滅の恐れが極めて高い「絶滅危惧TA類」で、県のレッドリストも「絶滅危惧T類」。岐阜市版では「野生絶滅」に分類されている。これまで確認された県内の野生の生息地は、美濃地方の3カ所に限られていた。

 向井准教授は「ゴルフ場は人の出入りが限られるので、結果的に希少種が守られたとみられる。保護に向けた調査ができれば」と話している。

【ウシモツゴ】コイ科の淡水魚で、東海3県固有種。かつては平野部の水路にもいたが、現在の生息地は中山間地のため池などに限られ、3県とも県条例で保護している。岐阜市周辺の地方名「う志もろこ」が名前の由来。学術的な最初の報告例は1893年で、後に名和昆虫博物館を開いた故名和靖氏が東京帝国大学(当時)に送った標本が基になった。