成年後見利用で失職は「違憲」 元警備員が国を提訴 − 岐阜新聞 Web
成年後見利用で失職は「違憲」 元警備員が国を提訴
2018年01月11日08:52
写真:成年後見利用で失職は「違憲」 元警備員が国を提訴
提訴後、記者会見する弁護団長の内河惠一弁護士(左)ら=10日午後1時43分、岐阜市内

 成年後見制度の利用者の就業を禁じる警備業法の規定により、警備会社を退職せざるを得なくなったのは、法の下の平等を定めた憲法に違反するとして、知的障害のある県内の30代男性が10日、国に100万円の損害賠償と、会社に社員として地位確認を求めて岐阜地裁に提訴した。原告の弁護団は「仕事に問題がないのに失職しなければならないのは不合理」と訴えている。

 弁護団によると、男性は軽度の知的障害がある。2014年春に県内の警備会社に入社し、交通誘導などを担当した。親族に給与を無断で使われたことをきっかけに財産管理をしてもらうため、岐阜家庭裁判所に申し立てを行い、昨年2月に援助者として保佐人が就くことが決まった。

 男性は手続きを進める中で、警備業法の規定で保佐人や後見人が就いた場合、警備員の仕事ができないことを知り、同3月に退職した。事情を知った弁護士に相談し「(通算10年間の勤務経験がある)警備員の仕事に戻りたい」と提訴に踏み切った。

 岐阜市内で会見した弁護団長の内河惠一弁護士は「制度を使うことで生活が奪われるのは大きな問題」と述べ、権利を守るはずの同制度が利用者の権利を制約している矛盾を指摘した。

 弁護団は政府が同制度の利用促進に向け、警備業法を含む約180の法律で利用者の権利を守ることができるように見直しを進めていることに触れ、「今回の裁判が(法改正の)追い風となることを期待したい」とした。

 【成年後見制度】 認知症や知的障害、精神障害などによって物事を判断する能力が十分でない人を支援する制度。本人や家族らの申し立てで家庭裁判所に選ばれた親族や弁護士らが財産管理や契約手続きなどを行い、本人が不利益を被らないようにする。本人の判断能力の程度により援助者の権限が異なり、補助人、保佐人、後見人に分かれる。判断力が全くない人には後見人が就く。将来に備え判断能力があるうちに自分で選ぶこともできる。