関商工14年ぶり16強 全国高校ラグビー − 岐阜新聞 Web

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関商工14年ぶり16強 全国高校ラグビー
2015年12月31日11:06
写真:関商工14年ぶり16強 全国高校ラグビー
関商工×大分舞鶴=後半20分、ロック佐藤建生が逆転トライを決め、歓喜する関商工の選手たち=花園

 ラグビーの第95回全国高校大会第3日は30日、大阪府東大阪市花園ラグビー場で、2回戦16試合を行った。県代表で5年連続36度目出場の関商工は、大分舞鶴と対戦。19−19で引き分けたが抽選勝ちし、14年ぶりに3回戦に駒を進めた。

 関商工は前半19分、左中間でのラックから、右へと展開、CTB名古路駿介が先制トライを決め、7−0で前半を終えた。後半は大分舞鶴に2連続トライを奪われたが、関商工も2連続トライを決めて逆転。同28分にトライで同点にされ、引き分けで試合を終えたが、抽選で勝利した。

 このほか、6度優勝の天理(奈良)が3大会ぶりの制覇を目指したシードの常翔学園(大阪第3)を5−3で破った。2連覇を狙う東福岡は黒沢尻工(岩手)に88−21で、前々回優勝の東海大仰星(大阪第1)は和歌山工に93−0で順当勝ち。ほかのシード勢では国学院栃木、流通経大柏(千葉)国学院久我山(東京第1)桐蔭学園(神奈川)大阪桐蔭(大阪第2)石見智翠館(島根)も勝ち上がった。京都成章は朝明(三重)を71−12で退けた。

 関商工の3回戦は1月1日、同ラグビー場で、シードの大阪桐蔭と戦う。試合開始は午前10時。

◆佐藤建が不屈の2トライ

 関商工のロック佐藤建生の躍動が、チームに笑顔をもたらした。2トライの活躍で、「プラン通り。ついに、花園で正月を、という夢がかなった」と14年ぶりのベスト16入りを笑顔で振り返った。

 前半を7−0のリードで折り返したものの、後半3、5分にトライを奪われ、7−14と逆転された。それまでも相手の強力なモールに押されていただけに、グラウンドには重たい空気が漂ったが、直後に佐藤建が希望をもたらした。

 同7分、敵陣深くで何気なくキックしようとした相手に、猛烈な勢いで飛び込んだ。ボールは佐藤建に当たり、こぼれ球を拾ってトライ。「相手SOがボールを持ったので、蹴る確率が高いと思った」と読みが当たった。思い切りのいいプレーでチームに勇気を与え、主将のプロップ森島寛高は「あれが無かったら負けてた」と感謝した。

 さらに同20分、左中間のラックからつながったパスを受け取ると、4人を振り切り、逆転トライ。逃げ切りを図る大分舞鶴をいらつかせる活躍で、井川茂雄監督も「いつも前向きな言葉を言ってくれた選手なので、うれしい」と褒めたたえた。

 次戦の大阪桐蔭はシード校だが、佐藤建はわくわくした表情。理由は、「僕らは“関商工優勝説”を唱えてきたから」と笑って説明する。大阪桐蔭のような強豪校を次々に打ち破っていく関商工のストーリーをみんなで語り合ってきたといい、「そんな格上と戦ったことない。どれだけ通じるか楽しみ」と興奮気味。この明るさと思い切りの良さが、優勝説のキーとなりそうだ。

◆山口先生が見守ってくれた

 「最後は山口先生にお願いしている自分がいた」。トライを決められ、19−19で迎えた後半28分。関商工の井川茂雄監督は、ゴールキックを決められれば敗色濃厚の絶体絶命の状況で、今は亡き恩師・山口正昭総監督に助けを求めながら勝負の行方を見守っていた。

 14年ぶり16強を懸けた2回戦の相手は、同高としても県としても花園最高成績のベスト4に山口総監督が導いた1973年度の第53回大会準決勝で屈した大分舞鶴。今年4月、県高校ラグビーを全国レベルに押し上げたその山口総監督が72歳で死去。選手はこの日も県大会から続けている喪章代わりの黒のリストバンドを巻き、ベンチの遺影と共に闘った。

 因縁の相手、大分舞鶴の強力なバックスを全員がタックルで阻止。粘りに粘って、19−14。あと2分耐えれば勝利、というところから「一番嫌な形で追い付かれてしまった」(井川監督)。

 選手も応援団もスタッフも、全員が祈るような気持ちで相手キッカーを見つめた。結局、ゴールキックは外れ、引き分けの末に抽選勝ち。42年前、山口総監督の下で大分舞鶴と対戦した市原慶三OB会長(60)は「山口先生が助けてくれた」と感無量。試合後、井川監督は涙を流しながら「一緒にチームを作ってもらった先生に見てほしかった」と話し、天国の恩師に次戦の勝利を誓った。