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新刊レビュー/2017年12月22日 13:19
『私の少年 』(1〜4巻)高野ひと深著 真冬の夜空のような
 

「おねショタ」というらしい。少年と年上女性の物語を俗にそう呼ぶらしいのだけど、「おね」はまぁ「お姉さん」だとして、じゃあ「ショタ」って一体なんなんだっつってポチッと調べたら「『ショタコン』(正太郎コンプレックス)の略。」って出てきて(実用日本語表現辞典より)、いや誰よ正太郎て……。そんな門外漢をも惹きつけ、おねショタについてつい調べさせてしまうのが本作なのです(余談ですが正太郎というのは『鉄人28号』の金田正太郎から来ているそう。半ズボンの似合う少年の代表として彼を挙げ、少年を偏愛する女性を正太郎コンプレックス、略してショタコンと呼んでいるんだとか。スッキリ〜)。

 スポーツメーカーに勤める多和田聡子は、夜の公園でリフティングの練習をする美しい少年と出会う。ひょんなことからサッカーを教えるという約束を交わした聡子と少年、真修は、やがて互いの孤独に触れ、寄り添うように絆を深めていく。

 穏やかでかけがえのない日々に突如訪れた別れ。二人の関係を知った真修の父の怒りを買い、聡子は仙台支社へと異動となってしまう。

 それから二年。「聡子……さん?」修学旅行で仙台を訪れた真修は、仙台駅前の陸橋でひとり涙を流す聡子を見つけたのだった。

 ……というのが前回までのあらすじ! 4巻では、中学生となった真修と(髪切った!)32歳になった聡子の(髪切ったけど伸びて印象変わらず!)再会以降が描かれます。ずっと会いたいと願っていたはずなのに、かつてのように無邪気に笑い合うことはできず、ぎくしゃくとしてしまう二人。それでも、すこしでも、☆(繋の車のタテ棒が山)がっていたい。真修の切なる願いは、聡子の心を揺れ動かす。

 ……とね、書くと、書いてしまうと、読みようによっては年上女と少年のめくるめくラブストーリーのように思えますけどね、違いますからね! この物語を美しく仕立てているのは、絵の緻密さだけでなく、彼らのプラトニックな関係性だと思うんですよ。そして聡子と真修、それぞれ抱える孤独――複雑な家庭で育ち、親からの無関心と高圧に耐える真修と、かつての恋人からの残酷な仕打ちに傷つく聡子。その悲しみが根底にあるからか、真冬の夜空のような、澄んだ美しさを感じるのです。

 決して明るくはない物語ですが、本作における最大のアクセントは、なんとも平和で破壊力満点の「あとがき」ではないでしょうか。担当編集・H澤さんによる、もはやド変態ってほどの仕事に対する(っていうか真修への)情熱、それを象徴するエピソードの数々……ヤバイです。もちろん褒め言葉です。そんなH澤さんの強烈キャラによって、一気に現実へと引き戻される感じもまたオツです。

 ちなみに4巻、まだ完結ではありません。まだまだ続いて欲しいような、早く二人の結末を見届けたいような。複雑な気持ちで5巻の発売を待ちたいと思います!

(双葉社 各620円+税)=アリー・マントワネット