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新刊レビュー/2017年12月22日 13:15
『ねほりんぱほりん ニンゲンだもの』NHK「ねほりんぱほりん」著 清廉潔白だけが人生じゃない
 

 一見すると、食い合わせ最悪の予感しかしない、「人形劇と赤裸々トーク」。そのふたつによって構成された奇跡の番組がある。ご存じ「ねほりんぱほりん」だ。そのチャレンジ精神たるやウニを初めて食べた人?否、プリンに醤油かけて「これウニだわ!」を発見した人に匹敵すると言っても過言ではない(いや足りないだろ)。

 そんな人気番組が、このたび初の書籍化とのこと、おめでとうございます! これまでの放送で紹介されたトークの一部と舞台裏を納めた一冊だ。

 登場するのは皆、顔出しNGの人達。プロ彼女に占い師、偽装キラキラ女子に億り人、そして痴漢えん罪経験者に元薬物中毒者まで……。多種多様な人々がありとあらゆる「ここだけの話」を、ブタさんの人形を介して披露し、モグラに扮するYOUと山里亮太が、それらを深掘りして聞き出す。

 足を洗ったといえども、「『やりたくない』って言ったら、正直嘘かもしれません。」と語る元薬物中毒者、地域の老人コミュニティーを使って芸能人の家を探すスクープ記者、真夏の選挙で、政治家の脱ぎたてパンツを洗った元議員秘書、おままごとでセックスのまねごとを始める子どもを目撃する保育士……。いやー、なかなかなことをサラッと書いてます。

 中でも印象的だったのはナンパ教室に通うタカノリ氏。生まれてこの方彼女ができず、36歳でナンパ教室に通い始めたというタカノリ氏。転勤先で出会った彼女と、一年お付き合いをしたという。しかしやって来た別れの時。東京に帰ってこいという辞令に最初は反発するものの、「すぐにまたナンパすりゃいいじゃん」と思いなおし、彼女とは別れてしまう。

 そんな彼に対して、ぱほりんことYOUは「うーん。まあ、タカノリ君はね、そのほうがよかったと思う。」と返す。

「だってさ、たとえば、全員がGジャンが似合うかといったら似合わないでしょ。全員が結婚すりゃいいかって、そんなの大間違いよ。」

「だからそんなことをできない自分がダメだってあんまり思わないでほしいんだけど。」……どうですか、このお言葉。もうね、YOUがね、彼女が逐一素晴らしいんですよ。そのキレイもキタナイもひっくるめた価値観に触れると、横道に逸れることなく、誰のことも傷付けず、自己嫌悪に苛まれることもなく、清廉潔白なままで生きていきたいと思っていた自分を平手打ちしたくなってくる。純粋さだけを美しさだと思っていたけど、そうじゃない。酸いも甘いもかみ分けた人の持つ大らかさがあるんだって、気づかせてくれた。

 これまでの自分の人生を、傷付けた人達のことを、逃げずに向き合う勇気が欲しいと思った。だって、優しくいたいから。自分を愛おしく思うように、どの人生も尊いと思えることは、とても豊かなんだって、教えてもらったから。

(マガジンハウス 1600円+税)=アリー・マントワネット