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おすすめシネマ/2017年01月24日 14:00
『スノーデン』 愛国青年が、アメリカ合衆国を敵に回すまでを描いた実話
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 4年前の2013年6月、29歳のエドワード・ジョセフ・スノーデンが世界を揺るがすとんでもないことを暴露しました。その内容は、米国国家安全保障局(通称NSA)がGoogleをはじめ九つのウェブサービスを通じて、メールのやりとりや写真、通話記録や利用記録などの個人情報を収集していたという驚きの事実。スノーデンはほどなく時の人となりました。

 映画のオープニングは、香港のホテルで実際に行われたスノーデンの取材シーンから始まります。異常なまでに警戒しながら、取材に答えていくスノーデン。そしてその告白とともに、映画は時をさかのぼり、過去と現在を行き来ながら若きITの天才スノーデンがなぜこんな行動をするに至ったかを描きます。わたしはスノーデンってアメリカ政府のとんでもない秘密を暴露したアンチヒーローという印象しかなかったので、彼が実は愛国心のとても強い青年だったという事実にとてもびっくりしました。04年に軍に志願し、政権批判のデモにも顔をゆがめ、「自分の国をバッシングするのは好きじゃない」と言う。そんなピュアな気持ちを持っていたからこそ、アメリカ政府のやり方に失望していったことが伝わってくるのです。

 監督は映画『プラトーン』『7月4日に生まれて』『JFK』など数々の社会派で知られるオリバー・ストーン。監督自身、ベトナム帰還兵であり、祖国のために戦い、そこで心に大きな傷を負って戻り、その経験をもとに、映画『7月4日に生まれて』が誕生しました。国のために人生をささげようとしていたスノーデンが国を裏切るに至った心情の変化にストーン監督はシンパシーを感じたのでしょう。スノーデンはいまもアメリカから追われる身。真実の物語だからこそ、その勇気は心に迫るものがあります。★★★★☆(森田真帆)

1月27日(金)から全国公開

監督:オリバー・ストーン

出演:ジョセフ・ゴードン・レヴィット、シャイリーン・ウッドリー、メリッサ・レオ、ザカリー・クイント、トム・ウィルキンソン