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おすすめシネマ/2017年08月15日 10:39
『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』 男の子はきっとみんな、この映画が大好きなはず
(C)2017「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」製作委員会
 

 1993年に放送され、岩井俊二の出世作となった伝説的なドラマの劇場アニメ化だ。脚本を『モテキ』『バクマン。』の大根仁が担当している。花火大会の日、中学一年生の典道は、思いを寄せるクラスメイトのなずなから「かけおち、しよ」と誘われ…。

 主人公たちの年齢が小学生から中学生に引き上げられてはいるが、前半は驚くほどオリジナルに忠実。セリフまでほぼそのままだ。50分ほどの短編を長編アニメ化するにあたり、まるで続編のように後半のエピソードが足されているのだ。そして、その後半こそが、アニメならではの表現を駆使した本作の見せ場となっている。はっきり言って、スゴイ! 日本のアニメの力、恐るべし!である。

 また、オリジナルは時間が戻ってやり直す話だったが、今回は同じ一日が何度も繰り返される。実はこのアレンジこそがミソで、製作陣が本当にオマージュを捧げているのは岩井俊二よりも、同じ一日が繰り返される傑作アニメ『うる星やつら2 ビューティフル・ドリーマー』ではないだろうか。なぜなら、本作もまた誰かの妄想の世界を描いたもの。男の子の理想を具現化した夢物語だから。男の子はきっとみんな、この映画が大好きなはずである。

 その一方で本作は、岩井俊二のオリジナルにはリアリティーがあったこと、子供を描きながら大人の鑑賞に耐えうる作品だったことを、改めて気付かせてくれるのだ。★★★★☆(外山真也)

総監督:新房昭之

原作:岩井俊二

脚本:大根仁

声の出演:広瀬すず、菅田将暉、宮野真守、松たか子

8月18日(金)から全国公開