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おすすめシネマ/2017年03月14日 12:50
『おとなの事情』 7人が織りなす会話劇はもはや笑えない、超ブラックなコメディー
(C)Medusa Film 2015
 

 もはや笑えないレベル、イタリア映画の超が付くブラックコメディーだ。3組の夫婦と一人の独身男が織り成す会話劇で、月食の夜に集まった気心の知れた7人が、スマホという個人の秘密が詰まったツールの情報を共有するゲームに興じたことから起きる、ちょっとした騒動が描かれる。

 わずか2時間ほどの間、届いたメールを全員で読み合い、電話の会話をスピーカーで開示する。ただそれだけのことが、いかに危険でサスペンスに富んでいるか! 本作の面白さは、今を生きるわれわれ全員が他人ごととは思えないような日常に潜む怖い落とし穴に次々とはまっていく会話の妙、つまりは脚本の巧妙さに尽きる。

 浮気相手から電話がかかってくるかもしれないといった単純なものだけではない。ウソを上塗りしたことで、予想外にあぶり出されてしまう性差別の本音など、わずか7人の会話がイタリア一国にとどまらない広がりと奥行きを持って見る者に訴えかけてくるのだ。

 舞台を豪奢で広いアパルトマンに設定したことや、会話劇として多すぎず少なすぎない登場人物の数(奇数なのもいい)、とても波長が合うとは思えないバリエーションに富んだキャラ設定など、視覚的に単調になりがちな1シチュエーション・コメディーを補う工夫も抜かりない。★★★☆☆(外山真也)

監督:パオロ・ジェノヴェーゼ

出演:ジュゼッペ・バッティストン、アンナ・フォッリエッタ、マルコ・ジャリーニ、エドアルド・レオ、ヴァレリオ・マスタンドレア、アルバ・ロルヴァケル、カシア・スムトゥニアク

3月18日(土)から全国順次公開