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おすすめシネマ/2017年10月31日 08:02
『ゆらり』 母と娘の絆にボロボロに泣かされる
(C)2017 映画「ゆらり」製作委員会
 

 何気なく観た一本の映画にここまで心を揺さぶられ、泣かされるとは思いませんでした。仕事に一生懸命になるあまり、自分の娘につい冷たくしてしまう母。最愛の息子と共に親子二人で生きながらも、ある日病に倒れてしまうシングルマザー。自分への怒りを母にぶつけてしまう娘。小さな旅館を舞台に、登場人物たちの過去、現在、未来を交錯させながら綴っていく家族の物語です。

 原作は放送作家として活躍している元お笑い芸人の西条みつとしで、彼が代表を務める劇団で上演された舞台なのだそう。シングルマザー役の内山理名をはじめ、岡野真也、戸次重幸ら俳優陣全員の一人一人が素晴らしい演技を見せています。

 母と娘ってとても不思議で、普段は仲がいい分、ぶつかることも多い。わたしも恥ずかしながらこの歳になっていまだに母に向かって声を荒げてしまうことがあります。本当は心から大切に思っているのに、身近にいるからこそ、言葉もつい乱暴になってしまう。後から自分が嫌になることもしばしばです。映画のあるシーンを観て、大好きだった祖母が亡くなった時に、「ああすればよかった」「こんな話をすればよかった」などと思い出しては大泣きしたことが胸をよぎり、大切な存在はいつ失ってしまうかも分からないことを思い出しました。

 きっと失ったときにその存在の大きさが分かるんだ。と、映画を観ながら様々な思いが自分の心の中に渦巻いて気づけばボロボロに泣いていました。この映画を観た後は、大好きな人に優しくしたくなることでしょう。★★★★★(森田真帆)

11月4日(土)から全国順次公開

監督:横尾初喜

出演:岡野真也、内山理名、戸次重幸