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おすすめシネマ/2017年11月07日 08:01
『ロダン カミーユと永遠のアトリエ』 移動を繰り返す登場人物たち。乱れない構図
(C)Les Films du Lendemain / Shanna Besson
 

 “近代彫刻の祖”オーギュスト・ロダンの没後100年を記念して製作されたフランス映画だ。創作の舞台裏と女性関係を中心に、彼の40〜60代が描かれる。ロダンが彫刻で追求したもの。それは“肉体”で、映画が最も愛するものでもある。監督はジャック・ドワイヨン。前作『ラブバトル』は、まさに男女の肉体がぶつかり合う、“肉体の映画”だった。

 ドワイヨンは、『ポネット』が大ヒットしたせいか、時に“名匠”と称される。確かに子供映画の名手という一面はあるけれども、俳優の演技よりも肉体や動きにこだわった結果、子役たちの素の魅力、子供らしさが引き出されたからにすぎず、肉体を重視する彼のスタイルは常に一貫している。フィリップ・ガレルと同じ“ポスト・ヌーベルバーグ”に属する監督なのだから、むしろ鬼才、いっそ“壊し屋”と呼んだ方がしっくりくるのだ。

 本作もそんな彼らしい室内劇で、彫刻という動かないものを手掛ける芸術家の話なのに、運動性に満ちている。登場人物たちは、部屋から部屋へと移動を繰り返す。ドワイヨン作品ほど、人物の次の行動が予測できない映画はないのではないか。しかもカメラは、彼らを追って自由に動き回っているかに見えて、構図は常に厳密さを保って乱れることがないのだから、画面の緊張感がハンパないのだ。これほどの監督が、こういう企画ものでもないとまともに日本公開されないというのは、本当に残念。★★★★★(外山真也)

監督・脚本:ジャック・ドワイヨン

出演:ヴァンサン・ランドン、イジア・イジュラン、セヴリーヌ・カネル

11月11日(土)から全国順次公開