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おすすめシネマ/2017年11月07日 08:02
『MASTER マスター』 実際の大型詐欺事件から着想の犯罪アクション
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 前作『監視者たち』で注目された韓国の新鋭チョ・ウィソク。その新作は、「チョ・ヒパル詐欺事件」という韓国犯罪史上最大規模の金融投資詐欺から着想を得た犯罪アクション映画で、前作をそのままスケールアップさせたかのような超大作だ。とりわけ重なるのは、チームプレイ対チームプレイの攻防。

 前作は凶悪犯の行動監視を専門とする警察チームと犯罪集団の頭脳戦だったが、今回も極悪非道な詐欺師と、それを追う知能犯罪捜査官=2人の切れ者が率いる企業vs.捜査班の駆け引きとチームプレイが軸となっている。情報化社会の病巣に鋭く切り込む現代性も共通する。しかも、そろってチョン・ウソン、イ・ビョンホンという大物二枚目スターが犯罪チームのボスを演じているのである。

 ただし今回は、2つのチームの間に二重スパイのような存在がいることで、サスペンスの奥行きと緊張感が倍増している。彼は、同時期公開のスパイ映画『密偵』でソン・ガンホが演じている主人公にそっくりで、意に反して命懸けの密偵を担わされる。だが『密偵』と違い本作の彼は、巻き込まれるだけに甘んじないズルさも持ち合わせているのだ。

 映像センスという点では『密偵』のキム・ジウン監督には及ばないものの、ドラマを重層的に積み上げる計算力は彼をしのぐレベル。2部構成のように前半と後半に2つの大きな山場を用意して、2時間20分の長尺を片時も飽きさせない構成力も見事である。★★★★★(外山真也)

監督・脚本:チョ・ウィソク

出演:イ・ビョンホン、カン・ドンウォン、キム・ウビン

11月10日(金)から全国順次公開